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フィンテック、機械学習が勝ちを決める

ティファニー・ハーパー*/フリーライター


新型変化が著しい金融テクノロジーの世界。ますます、同分野で存在感を高める機械学習についてレポートする。

最先端のIT技術を取り入れ、成長する金融テクノロジーは、フィンテックという名称でも知られている。モバイル決済を行う時、また家計簿アプリを使う時も、私たちの身の回りには、フィンテックの力が生かされている。

スマートフォンをタップするのと同じくらい、こうしたアプリもシンプルに動いていると感じるかもしれない。しかしその裏では、あらゆる技術が著しい進化を続けている。

いま、複雑な財務データの分析や取引業務に活用するためにフィンテック企業は機械学習への注目度を高め、新しいサービスの展開を図ろうとしている。

インドを主要拠点に世界の多様な市場を調査しているThe Business Research Companyによると、全世界のフィンテックの市場価値は、2020年中に3,100億ドル近くにまで達すると言われている。

従来の金融サービスにイノベーションを起こし、自動化や効率化によって高い生産性を実現したことが、こうした成長の主な要因となっている。

銀行業界の動向に触れた金融記事の中で、「創造的破壊により、顧客にとっても金融サービスのあり方が変化しています」と、フィンテックアドバイザーのアルヴィンド・サランカン氏は述べている。

サランカン氏 「ニーズに応える最良の方法を考え、データとデジタルを活用してエキサイティングなサービスを提供できれば、誰であれ勝利するチャンスがあるのです」

フィンテック企業は、従来の手法とデジタル技術の統合を急速に進め、金融サービスの強化を図るとともに、カスタマーエクスペリエンスに付加価値を生み出そうとしている。

SoFi社のようにフィンテック企業で名が知られつつあるケースもあるが、ほとんどの場合、企業の認知度はそう高くはない。

金融版ウィキペディアとも言える英語金融辞書サイト「インベストペディア」では、Ant Financial社、Adyen社、Qudian社、そしてXero社といった企業が、世界トップのフィンテック企業として名を連ねている。

こうしたトップ企業は、最新のビジネスや消費者向けテクノロジーを取り入れることで、新鮮なアイデアをかたちにしている。

アイデアの多くは、機械学習の活用法を新しく考案する中で生まれている。例えば、機械学習が行う予測モデリングによって、効率を最大限に引き上げるとともに、収益の増加や顧客基盤の拡大を実現している。

これは単なる業務改善ではない。金融サービスにおける大革命だ。

機械学習は融資の枠組みを全面的に変えただけでなく、金融業界に数多くの変化を巻き起こしている。

フィンテックと機械学習

経済・金融ニュースサイトFortunlyによると、世界人口の約半数にあたる人々が金融取引にデジタルチャネルのみを活用している。同時に、世界の消費者の96%が、フィンテックのサービスを少なくとも1つは認識しているとされている。

フィンテックは従来の銀行サービスを網羅するだけでなく、リスク管理、証券取引、保険など、ほかにも多くの分野に対応している。

こうしたニーズをソフトウェアで管理するには、機械学習による自動化や改善が必要不可欠だ。

定義上、機械学習はAI(人工知能)によるアプリケーションであり、これを使うと、システムは明示的にプログラムされなくても、経験を基に自動で学習および改善を行うことができるようになる。

Webニュースサイト、Best Essaysでフィンテックを専門に執筆するジェイク・ガードナー氏は、機械学習には4つの種類があると解説している。

それは、教師あり機械学習、教師なし機械学習、半教師あり機械学習、そして強化機械学習だ。

業界研究では、機械学習というテクノロジーについて、長所も、そして短所も報告されている。しかし総合的に機械学習は、個々の問題を解決しながら発展の見込めるツールだと考えられている。

また、発展が見込めるツールならば、間違いが起こるリスクは時間とともに減少していくはずだ。

しかしながら、このように期待は大きいものの、世界のフィンテック企業による機械学習の使用率は現状ではそう高くはない。

金融ニュースFinances Onlineによると、機械学習を活用する企業の割合は15%にとどまっている。

機械学習でフィンテックのオペレーションを強化

フィンテック企業は、機械学習を文書解釈やコンテンツ作成の分野で融資の検討に際して、リスクの削減、カスタマーサービスの向上、証券取引など、様々な市場ニーズに対応して活用している。

機械学習のシステムは人間と違って、膨大なデータライブラリから、1秒毎に数千枚もの書類を読み込み、意味のある結論を導き出すことができる。

こうして、フィンテック企業は業務の大幅な高速化を図るほか、運営コストを最小限に抑えている。

例えば、JPMorgan Chase & Co.社では機械学習を活用して、法手続きの簡素化、さらには関連する法律業務の負荷削減に成功している。

2017年6月には、事業用ローン契約にCOIN(Contract Intelligence)を導入、以前は年間36万時間にも及んだ弁護士と金融資担当者の稼働時間削減を実現させた。
JP Morgan社で共同社長兼COO(最高執行責任者)を務めるダニエル・ピント氏は、COINが弾き出す傑出したパフォーマンスに称賛を送っている。

「お客様によるビジネスの拡大に伴い、その複雑性も増すため、資金調達において必要なソリューションを、場所を問わず、その希望にかかわらず提供できる金融パートナーが求められています」と、株主宛の文書内でピント氏は述べている。

機械学習には、フィンテック関連のコンテンツを執筆する能力もある。

多くの企業は、データを正確に考察した上で事実をシンプルに伝えるレポートを必要としている。

機械学習は、これを迅速かつ効率的に実践する。機械学習の活用でシステムによる信用スコアの作成が可能となり、これによって販売担当者は、取引成立前に当該顧客の情報を把握し、判断することができる。

融資リスクの最小化につながるほか、把握が容易ではなかった優良顧客についても特定が可能なのだ。

ライブラリは、様々なソースから大量のデータが集められるが、これを同時に分析する機械学習の能力には鍵がある。機械学習の分析能力は、シンプルな信用スコアや年収層に関する情報といった枠をはるかに超えるものだ。

リスク評価では従来の手法も依然として使われているが、機械学習はさらに踏み込んで膨大な情報を評価する。

例えば、公共料金の支払い状況、ソーシャルメディアのアカウント、個々の健康状態、ケーブルテレビや電話料金、家賃の支払い状況といった従来の情報に替わるものについても分析する。

機械学習はこうした情報をすべて加味し、極めて正確な信用スコアを弾き出し、人間には決して真似のできない能力で支払い能力のない企業や個人への融資を回避し、リスクを最小限にとどめている。

AcuteIQ社のCEO(最高経営責任者)兼創業者、イアン・フォーリー氏は 「銀行による機械学習の導入は、信用分析や顧客の獲得など、まずは業務改善の面から試すこととなるでしょう。一方で、カスタマーサービス用ボットなど、顧客対応アプリケーションの開発には消極的になるだろうと考えます」と話す。

続けてフォーリー氏は「それは、適切な対応ができるのか、あるいは悪い評判がたつのではないかという懸念がぬぐえないからです」とPlug in Play にまとめられたインタビュー記事の中で述べている。

カスタマーサービスは、最初に機械学習を取り入れるべき領域のひとつだといえる。Walkerの調査によると、2020年にはブランドを差別化する主な要因として、カスタマーエクスペリエンスが価格・製品をともに凌駕することがわかった。

チャットボットも機械学習によるテクノロジーだが、これを使えば24時間対応可能なカスタマーサービスを実現するだろう。

また、Mobile Market Researchによると、ミレニアル世代の40%が日常的にチャットボットとのやり取りを行っている。

機械学習を活用することで、サービスをカスタマイズし、顧客毎に適した商品を提供するといったことも容易に実現できるのだ。

インターネット上には顧客と紐づくインプットがいくつも流れているため、そうした情報を基にシステムが顧客の好みを分析することで、将来的なニーズや期待を予測することが可能となる。

証券取引においても、機械学習システムはライブラリにある大量のデータを分析し、過去の取引の全容を把握している。

価格が下がる前に株を売却する、価格上昇の兆しがあれば購入するといった対応がとれるよう、極小さい価格変動パラメータも見逃さない。

フィンテック市場で活動強化を目指す場合も、あらゆるコミュニケーションチャネルにおいて、機械学習の予測分析が有効だ。

プラットフォームがそれぞれの顧客を素早く読み取り、公開されている情報を収集する。これにより、市場でのキャンペーン効果向上が期待できる。

フィンテック企業により、最先端のITソリューションが金融業界に続々と導入されている。業務の進め方やサービスが進化を続けるに従って、機械学習は私たちの社会に大きな影響を与えることになるだろう。

(2019年12月24日, THE FORECAST by NUTANIX)
記事構成:ニュータニックス・ニュース! 編集部, Nutanix Japan

*ティファニー・ハーパー氏はフリーライター。

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