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ダウンタイムのコスト

データセンター: 良い面と悪い面

現代企業の生死はそのアプリケーションに左右されており、こうしたアプリケーションの多くはデータセンターに保持されています。データセンターが停止すると、そこにあるアプリケーションも停止するため、IT部門、そして結果として事業の機能も麻痺してしまいます。その結果、今日の事業持続可能性は情報テクノロジー (IT) の機能となっています。この事実から推測される影響は、圧倒的に明白です。つまり、ITの保護は、事業の保護につながるのです。

物理データセンターにおける失敗を完全に予防するのは不可能である点を考えると、IT部門はデータセンターの停止を何が何でも乗り切る必要があります。そうしなければ、事業の存続が危ぶまれるからです。しかし、統計によれば、全ての企業がいずれはITダウンタイムの影響を受けることが分かります。その結果、企業は既存のデータセンター性能を拡張して、事業継続性とディザスタリカバリ (BCDR) 計画を満たすため、サービスとしてのディザスタリカバリ (DRaaS) などのクラウドベースのサブスクリプション型サービスへの注目をますます高めています。

数字で見る継続性

モノのインターネット (IoT) などの新興技術は、より多くのデータをデータセンターを介するようにしているため、企業は新たな効率性を最大限に活用するべく自社のアプリケーションとデータサービスのモダナイズを余儀なくされています。しかし、技術の採用は諸刃の剣でもあり、ITスタッフは大量の検討事項 (場合によっては悩みの種) に向き合わなくてはいけません。企業が通常の事業活動におけるITへの依存度を高めると、ITのダウンタイムが発生した場合の影響も増大します。

Technology Services Groupが実施したThe Real Cost of Business Downtime1 (事業のダウンタイムによる本当のコスト) 調査によると、欧州の平均的な企業は年間で最低でも14時間のITダウンタイムに悩まされており、これは結果として1年で552人時分の損失につながることが明らかになっています。企業は、こうしたダウンタイムの時間によって、収益化能力が最大で37パーセント削減すると推計しています。

Ponemon Instituteが実施したCost of Data Center Outages 2016 Report2 (2016年度版データセンター停止によるコストレポート)によると、データセンターの停止がもたらす平均的なコストは着実に上昇しており、2010年の505,502ドルから2016年の740,357ドルへの上昇は38パーセントの純変動額を示しています。このレポートでは、非計画での停止が1分あたり17,000ドル超の損失をもたらす可能性があると指摘しています。ただし、平均的な金額は約9,000ドルとなっています。

 The Growth Opportunity for SMB Cloud and Hybrid Business Continuity3(中小企業のクラウドおよびハイブリッドクラウドの事業継続性が示す成長の機会) において、IDCは中小企業 (SMB) の約80パーセントがインシデントあたり82,200ドル~256,000ドル の損失を伴うダウンタイムに悩まされた経験があると報告しています。

ダウンタイムのコストがその持続期間と直線的な相関関係にあることは、多くの調査結果において一貫して示されています。その結果として、復旧時間 (TTR) が事業継続性計画の主要なメトリクスとなります。Magna5 のレポート4 では、災害を経験してから 5日以内に事業を再開できない企業の90パーセントが、1年目以内に倒産することが明らかになっています。準備をしていなかったものの存続できた企業は、何百万ドルもの損害を支払うことになります。

ダウンタイムの経済学:  直接/間接費および機会費用

データセンターの停止による直接的な原因は、事業が負担しなくてはならない多数のコストの1つに過ぎません。これは、車で出勤途中にタイヤがパンクした場合、パンクしたタイヤの代金は数ある費用の1つに過ぎないのと似ています。ITダウンタイムが事業にもたらす影響を完全に評価するには、あらゆる関連コストを調整する必要があります。データセンターの停止にまつわる、その他の定量化可能なコスト (多くの場合は高額なコスト) には、スタッフの生産性、ならびに売上の機会損失などの機会費用といった間接費が含まれます。直接/間接損害の平均額はほぼ同額であり、損失合計額の約88パーセントを構成する一方で、機会損失による金額は約12パーセントとなっています2

ITダウンタイムの最も良く知られるコストとして、以下が挙げられます:

  • 営業収益の喪失
  • 従業員の生産性の喪失 (社内ビジネスプロセスの停止)
  • ミッションクリティカルなデータの破損および欠損
  • 機器および関連資産への損害

その他にも、潜在的に重大な検討事項が存在します:

  • システムおよびコアビジネスプロセスの修復コスト
  • 顧客および主要ステークホルダーとの評判の失墜
  • 従業員の士気の低下
  • 規制、コンプライアンス、および法律上の罰金 (潜在的な訴訟費用も含む)
  • 保険料割引の喪失、違約金
  • サプライチェーンの混乱

事業継続性・ディザスタリカバリ (BCDR) 戦略

専門的なITサービス部門以外の人物は、BCDR計画の主要な誘発要因が天候関連の災害であると捉えがちです。実は、天候関連の災害に伴うコストは2番目の人的なエラーを抑えて、最も少ないコストなのです。大半のIT専門家が証言するように、停止に伴うコストが最も高いのは設備障害であり、ますます頻度が高まっているサイバー犯罪による攻撃がこれに次いでいます。後者においては、あらゆるデータセンターが標的となる可能性があります。これは、サイバー犯罪がデータセンターの地理または設備に関わらず、致命的な脅威となるためです。

サイバー犯罪は、データセンター停止を引き起こす原因として最も急速に拡大しており、その件数は2010年から2016年までの間に20パーセント上昇しています2。多くの企業は、サイバー犯罪の脅威の規模を過小評価しています。ランサムウェアは非常に収益性が高いことから、サイバー犯罪は最もコストのかかる脅威だと言えます。IT部門が人質にとられている間に直接・間接損害および機会損失が発生するのみならず、犯人に身代金を支払った場合の追加コストも考えられます。

どのような脅威であっても、データ損失を最小限に留めてデータセンター運用をできる限り早急に復旧させることが要となります。多くのIT専門家にとって、この局面におけるデータ損失は事業の死活問題となります。

躍進を遂げるDRaaSオプション

MarketsandMarketsの調査5によると、DRaaSの市場規模は2016年の17億2000ドルから2022年には125億4000万ドルにまで成長し、その予測期間中 (2017~2022) の複合年間成長率 (CAGR) は41.8パーセントになる見込みとなっています。

特に中小企業を含む多数の企業にとっては、従来型BCDRソリューションを本格展開する場合の法外な費用が問題となります。冗長なデータセンターインスタンスの作成に直接関連した資本経費は、会社の予算を上回る場合が多く見られます。その結果、企業の多くは重度に衰弱した (またはほぼ存在しないに等しい) BCDR ソリューションに依存する以外に選択肢がありません。幸い、DRaaSの登場によって、予算の少ない企業であっても大企業と同じサービスレベル保証を提供できます。これで、別のデータセンターを展開する際の初期費用、そして多くの人材を雇用による維持費用を支払う必要がなくなります。

DRaaSのアーリーアダプターはSMB市場の企業である傾向が多かったものの、専門家は、プラットフォーム統合、計測、そしてオーケストレーションツールの成熟化が進むにつれて、より多くの大企業が自社データセンターに対するDRaaSの明確な優位性に気付き、これを選択するようになると考えています。こうした優位性には、資本経費の代わりに運用コストを通じたサブスクリプション型サービスでDRaaSを工面できることのメリットが含まれますが、これに限定されません。また、DRaaSは業務の拡大に合わせた拡張モデルを促進するため、成功に向けて柔軟性の高いアプリケーションを頼りにする企業にとって特に魅力的な選択肢となっています。

Nutanix Xi Leap DRaaSのご紹介

有効なBCDRソリューションを備えていない場合、それは企業の生命線そのものでギャンブルするようなものです。幸い、Nutanix Xi Leapは、シンプルで柔軟、また良心的な価格のサブスクリプション型ソリューションを提供します。混乱を最小限に留めた1-クリックのテストが可能なため、ご利用のDRソリューションが機能するかどうか、災害が発生する時まで案じ続ける必要がありません。今すぐ Xi Leap Test Drive6 をお試しして、事業継続性をいかに簡単に保証できるかご体験ください。

参考文献:

  1. Technology Services Group’s INFOGRAPHIC: The Real Cost of Business Downtime (Technology Services Group: インフォグラフィック:事業のダウンタイムによる本当のコスト), https://www.tsg.com/resource-centre/infographic-real-cost-business-downtime
  2. Poneman Institute's Cost of Data Center Outages 2016 Report (Poneman Institute: 2016年度版データセンター停止によるコストレポート), https://www.vertiv.com/globalassets/documents/reports/2016-cost-of-data-center-outages-11-11_51190_1.pdf
  3. IDC’s The Growth Opportunity for SMB Cloud and Hybrid Business Continuity (IDC: 中小企業のクラウドおよびハイブリッドクラウドの事業継続性が示す成長の機会), https://blog.tierpoint.com/draas-adoption-driven-rising-downtime-costs
  4. Magna5’s Top 6 Disaster Recovery Planning Mistakes Businesses Make (Magna5: 企業によるディザスタリカバリ計画の過ち6選), https://www.magna5global.com/top-6-disaster-recovery-planning-mistakes-businesses-make/
  5. MarketsandMarkets’ Disaster Recovery as a Service Market by Service Type (Backup & Recovery, Real-Time Replication, Data Protection, and Professional Services), Service Provider, Deployment Model, Organization Size, Vertical, and Region - Global Forecast to 2022 (MarketsandMarkets: サービスの種類 [バックアップ&リカバリ、リアルタイムレプリケーション、データ保護、そして専門サービス]、サービスプロバイダー、展開モデル、組織規模、バーティカル、および地域ごとに見るサービスとしてのディザスタリカバリ市場 - 2022年までのグローバル予測), https://www.marketsandmarkets.com/Market-Reports/recovery-as-a-service-market-962.html
  6. https://www.nutanix.com/products/disaster-recovery-as-a-service

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