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富士市、Nutanixの導入でIT基盤の俊敏性向上とDR対策強化を一挙に実現

約2,400台のシンクライアントによる執務の継続性と変化への即応力をNutanix Cloud Platform をベースとした IaaS基盤で高める

業界

地方自治体

 

課題

  • 約2,400台のシンクライアントとサーバーによって複雑化したIT基盤
  • 急なシステム増強要請へ対応できない
  • 高止まりしていた運用管理コスト
  • 大規模災害に備えたDR対策強化の必要性

ソリューション

Nutanix Cloud Platform

  • NutanixAOS
  • Nutanix AHV
  • Nutanix Prism

Citrix Virtual Apps and Desktops

アプリケーション

  • 業務用アプリケーション
  • 認証サーバー
  • UiPath Orchestrator

導入によるビジネスのメリット

  • 俊敏性の高いVDI環境のIaaS化と事業継続性を向上するDR環境の両立
  • 物理サーバー台数を大幅に削減し、柔軟なリソース増減を実現
  • 複数のリソースを統合管理できるようになり、運用担当者の業務負担が大きく低減

 

「私たちが欲しかったのは必要なITリソースをオンデマンドですぐに用意できるIaaS環境です。その環境をオンプレミスで実現するソリューションとして、自ずとNutanixのHCIが選択肢になりました」

富士市 総務部情報政策課 主幹 大長 剛二 氏

課題

富士山をあおぎ、海にも面した静岡県富士市。25万人余(2021年4月1日現在)の市民が暮らす同市は、良質な水資源に恵まれ、明治期から製紙産業が集積した「紙のまち」として知られています。日本の東西を結ぶ交通の要衝でもあることから、高度経済成長期には化学工場や輸送用機械工場も数多く設置され、県内有数の工業都市として発展を遂げてきました。

現在、2020年8月に発出した「富士市デジタル変革宣言」のもと「市民サービス」「地域活性化」「行政経営」をデジタル変革の3つを柱とし、行政のデジタル化や教育現場でのICT活用、働き方改革、デジタル人材の育成などの取り組みを進めています。

富士市では、庁内業務を支えるIT基盤の変革にも先駆的に取り組んできました。業務端末の運用管理を簡素化する目的で早くからデストップ仮想化技術を導入、職員が使う約2,400台の端末としてシンクライアントを採用し、VDI(仮想デスクトップ)やSBC(サーバーベースコンピューティング)などを積極的に活用してきました。しかし、仮想化によりサーバー基盤が複雑化し、運用管理の業務負荷が増すことで、コストが高止まる傾向がありました。業務の要求に必要なサーバー環境を用意するスピードもなかなか上げられないでいたといいます。

ソリューション

富士市では、VDI環境のシステム更改を機に、運用管理の業務負荷がかからず、サーバーの増強要請にも迅速に対応できる俊敏なIT基盤の実現を目指しました。富士市 総務部情報政策課主幹の大長剛二氏は「私たちが欲しかったのは、必要なITリソースをオンデマンドですぐに用意できるIaaS環境です。その環境をオンプレミスで実現するソリューションとして、自ずとNutanix の HCI(ハイパーコンバージド・インフラストラクチャー) が選択肢になりました」と振り返ります。

また、同市では、2017年にICT部門の事業継続計画を策定しており、VDI環境のIaaS化と併せて、実効性の高いDR(災害時復旧)の仕組みづくりも行うこととしました。 「当市では、隣接する富士宮市との『共同電算』を行っており、外部のデータセンターのハウジングサービスを使ったIT基盤を設置しています。災害には強かったのですが、大規模災害によって万が一データセンターと庁舎を結ぶネットワークが寸断されると、すべての庁内業務が止まるリスクを内包していました。そこで、データセンターと同じIT基盤を本庁舎に設置し、本庁舎をバックアップサイトとして構築しました。免震構造・発電設備を備えており、ネットワークが寸断しても庁内業務が問題なく継続できるよう考えました」と総務部情報 政策課主査の加藤小太郎氏は語ります。

こうした背景の元、同市ではシステム更改に向けた入札を2019年に実施し、結果としてNutanix Cloud Platform の導入を決定しました。

導入効果

DRを包括したIT基盤の刷新はスムーズに進み、2020年1月からデータセンターと本庁舎で本格運用が始まりました。庁内職員の業務を支えるVDI環境以外に、庁内DX(デジタルトランスフォーメーション)の一環として導入したRPA(ロボティクス プロセス オートメーション)基盤もNutanixによる IaaS に統合されています。サーバーの台数が大きく減りキャパシティに余裕が出たことは、DRの仕組みづくりにもプラスに作用し、ハウジングコストの低減につながりました。

大長氏は「本庁舎のIT基盤は、基本的にデータセンター配備の基盤のバックアップですが、キャパシティに余裕があることから、バックアップ用のリソースを確保しつつ、他の用途に使うことが可能になっています。これにより、本庁舎側のIT基盤をすべて“スタンバイ”の状態にする必要がなくなり、バックアップ基盤への投資価値が高められています」と述べています。

また、庁内の各部門・各課から新たなシステム導入の要請があった場合も、必要なサーバー環境を迅速に立ち上げることができているといいます。「リソースが空いていれば5分〜10分で必要なサーバー環境が用意でき、サーバー構築後の仕様変更も柔軟に行えるので助かっています。Nutanixなら、データセンターのIT基盤と本庁舎のIT基盤とのサーバーの移動・同期もすみやかで、テラバイト級のデータの移動も容易に完了できています」と加藤氏は語ります。

今後の展開

富士市はすでに今回構築したDRの仕組みの動作試験も済ませており、データセンターと本庁舎とのネットワークが切断された状態でも、本庁内のIT基盤だけで主要な庁内業務が滞りなく遂行できることを確認しています。

大長氏は「今後、委託事業者の支援無く職員だけでDRに必要なすべてのシステム作業がこなせるようにし、有事への備えに万全を期すつもりです。また、データセンターと本庁舎の2拠点に配備したIT基盤を有効に活用すべく、システムの用途に応じてロケーションの最適化を図っていく構えです」と展望を述べています。