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マルチクラウドとは?

2025年01月23日 | min


マルチクラウドとは?

マルチクラウドとは、2つ以上のクラウドプラットフォームを組み合わせたインフラアプローチのことです。これらのプラットフォームは、パブリックまたはプライベートであり、ほとんどのマルチクラウドインフラストラクチャーは、少なくとも2つの異なるパブリッククラウドプラットフォームで構成されています。マルチクラウドには、オンプレミスのコンピュート、ネットワーク、ストレージも含まれることがあり(必ずしもそうとは限らない)、これらはクラウドサービスと統合して連携する必要があります。

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マルチクラウドとハイブリッドクラウドの違いとは?

マルチクラウドとハイブリッドクラウドは同義で用いられているものの、それぞれに固有の特徴があるのもまた事実です。

ハイブリッドクラウドはマルチクラウドのサブセットになります。 周知のように、マルチクラウドはそれぞれが特定のアプリケーションやサービスを提供する様々なクラウドプラットフォームのことです。ハイブリッドクラウドは、オンプレミスIT (従来型インフラストラクチャーとプライベートクラウド) と、オフプレミス型のIaas (サービスとしてのインフラストラクチャー)、またはGoogle Cloud Platform (GCP)、Amazon Web Services (AWS)、Microsoft Azureなどのパブリッククラウド、あるいはクラウドサービスプロバイダー(CSP) が提供するそのほかのサービスを組み合わせたものです。

ハイブリッドクラウドのマルチクラウド比較:その違いとは?と題されたこのブログ記事では、「ハイブリッドクラウドとマルチクラウドインフラストラクチャーを比較する際のよくある誤解の1つが、両者は相互排他的だという認識です。 マルチクラウド環境の明示的な定義は、ハイブリッドクラウドモデルが確かにマルチクラウドモデルであることを示唆しています。しかし、その逆は必ずしも成り立ちません。マルチクラウド構成はハイブリッド化できるものの、個別のクラウドが相互に通信する必要なく存在できます。」ここで留意するべき主なポイントは、一般的にマルチクラウド展開では2つ以上のパブリッククラウドが存在する一方で、ハイブリッドクラウド展開にはこれが当てはまらない点です。

マルチクラウド戦略を選ぶ理由

多くの組織がインフラへのマルチクラウドアプローチを選択するのは、それがいくつかの一般的な課題に対処し、その解消に役立つからです。

まず、複数のクラウドプラットフォームを持つことで、各プラットフォームのユニークな特徴や機能を活用することができます。すべてのクラウドサービスプロバイダーが同じとは限らず、ワークロードによっては他のクラウドよりも優れた機能を発揮するものもあります。例えば、あるプラットフォームはアプリケーションのホスティングに最適化されているかもしれませんが、別のプラットフォームはパブリックアーカイブの保存にコスト効率と拡張性の高いスペースを提供しているなど、さまざまです。

マルチクラウドアプローチでは、企業はベンダーロックインの制約を克服し、必要なあらゆる機能にアクセスできます。単一のクラウドプロバイダーを利用することで、機能や性能だけでなく、価格や、利用可能なサービスやツールなどのその他の要素も制約されます。

企業がマルチクラウドを選択するもう1つの理由は、特定の地域におけるデータ主権や規制に準拠するためです。地域や国によって法律が異なるため、例えばある国の顧客データをその国のクラウドに保管し、別の地域の顧客データは別に保管する必要があるかもしれません。

マルチクラウドは効果的なフェイルオーバー・モデルとしても機能し、クラウドや接続に障害が発生した場合でもデータを保持し、業務を継続できます。異なるクラウドプラットフォーム上に重要なデータの複数のコピーとバックアップを持つことで、メインのクラウドプラットフォームがダウンした場合でも、復旧時間を短縮し、ビジネスの継続性を高めることができます。

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ハイブリッド・マルチクラウドのインフラを導入するメリット

マルチクラウドのメリットとは?

組織がマルチクラウド環境を選する理由は沢山あります。マルチクラウドアプローチに関連する各利点は、今日のデジタル経済における競争優位性を確立または維持するのに役立つことが証明されています。安定した管理ツールは、マイグレーションを容易にして、円滑な在庫、セキュリティ、移行、および変更管理の確保において必要な可視性を提供できます。マルチクラウドアプローチを推進する、そのほかの主な要因として以下の内容を挙げることができます:

ベンダーロックインの軽減

期待事項と予想される落とし穴を入念に評価し、1つのクラウドプロバイダーから別のクラウドプロバイダーへと容易に切り替えられるよう交渉の立場を強めることで、企業はクラウドの力を活用して、あらゆるクラウドサービスプロバイダーとのパートナーシップの価値を最大限に引き出すことができます。

適合性

組織のIT戦略に複数のクラウドを採用することで、管理者はビジネス要件に合わせて、それぞれのタスクに最適なクラウドホスティングプロバイダーを活用できます。

競争力のある価格設定

さまざまなプロバイダーを比較し、特定のITニーズに基づいて利用可能な最高の料金を確保できる自由を享受できるようになります。

柔軟性と拡張性

マルチクラウドによって、組織は継続的な需要に基づきストレージを拡張または縮小することができます。マルチクラウドプロバイダーが円滑に連携し、組織は各データセグメントのニーズに基づき、あらゆるレベルのキャパシティ、セキュリティ、そして保護に投資できるようになることが理想です。

マルチクラウドを利用する上での課題とは?

IT組織がマルチクラウド環境を採用する中、各組織の目標達成における課題も明らかになり始めています:

異なるワークフローと管理ツール

こうしたツールは高額な上、サイロ化してしまうため、すでに複雑なインフラストラクチャーの複雑性をさらに高めてしまいます。

統一されたセキュリティの欠如

ネットワークのセキュリティは、インフラストラクチャーとソフトウェアの変更に合わせて定期的に評価する必要があります。クラウドセキュリティを評価する統一された仕組みがなければ、セキュリティリスクに素早く気付くことができない可能性があります。

スキルギャップ

企業が新しいマルチプラットフォームツールを展開すると、ITリーダーは多くの場合、複数のクラウドを扱うスキルに関してスタッフを再教育する必要があります。組織は新しい変化に迅速に対応していく中で、必要なマルチクラウドのスキルを持った人材を探すのは大変です。

データ共有

マルチクラウドは、データの同期および共有における困難を招く場合が多く、プロバイダーの成熟度が異なるほか、APIの違いという問題も抱えています。

こうした課題に対処するため、組織はマルチクラウド環境の設計時にはデバイスやロケーションに制限されずに、ユーザー、アプリ、そしてデータをセキュアにつなぎ、数分で仮想デスクトップをプロビジョニングし、ベンダーロックインを防ぐソリューションを探す必要があります。

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マルチクラウドのユースケース:マルチクラウド戦略が役立つ場面とは?

企業がマルチクラウドインフラストラクチャーを頼りにしているのには、さまざまな理由があります。 

  • クラウドにおける局地的なコンポーネント障害によって引き起こされる、データ損失またはダウンタイムを予防するため。
  • ベンダーロックインを回避するため。 
  • 広範なビジネスおよび技術的目標を達成するため。これには、より魅力的な価格設定のクラウドサービスの利用、または特定地域で特定のクラウドプロバイダーが提供するスピード、キャパシティ、または提供機能の活用が含まれます。
  • データ主権を通じて最適なパフォーマンスと最小限のレイテンシを実現するため。組織がエンドユーザーに極力近い場所に位置するコンピュートリソースを配置できるようにします。 
  • 複数のIaaSプロバイダーのデータセンターリージョンまたは可用性ゾーンから選択することで、規制要件の順守をサポート。

マルチクラウドのセキュリティ:マルチクラウド環境の安全性とは?

大手クラウドプロバイダーのセキュリティ体制は、大半のエンタープライズデータセンターと同等またはそれ以上の性能を誇るため、もはやセキュリティをマルチクラウドサービス導入の主要な阻害要因として見なすべきではないでしょう。しかし、オンプレミスのワークロードをクラウドに移行すればいいというような単純なものではありません。セキュリティチームは、パブリッククラウドIaaSのプログラマティックインフラストラクチャーを活用して、パブリッククラウドの世界ではセキュリティが「共有の責任」となる点を理解する必要があります。

クラウドプロバイダーは「クラウド」のセキュリティの責任を負う一方で、ユーザーは「クラウド内」のセキュリティの責任を負うことになります。できる限り多くのプロセスを自動化することで、サイバー攻撃の原因を作りがちな人的エラーの発生確率を減らすことができます。クラウドの世界で一時的に存在するデジタル資産をオンデマンドでプロビジョニングおよびデプロビジョニングできる点は、成功の重要な推進力となります。クラウドコンプライアンスを完全に順守するには、セキュリティコントロールの管理をプログラマチックに行う必要があります。

マルチクラウドストレージとは?

マルチクラウドストレージとは、パブリッククラウド、プライベートクラウド、またはクラウドに似た機能を持つスタンドアロンのオンプレミスリソースのいずれかでホストされている複数のクラウドストレージサービスを使用することです。これはマルチクラウドアーキテクチャーの一部であり、複数のクラウドプロバイダーやプライベートクラウドインフラストラクチャーのサービスやリソースを組み合わせたものです。

企業向けマルチクラウドストレージはどのように機能するのか?

マルチクラウドストレージには、ストレージマネージャー、クラスターエージェント、セキュリティエージェントで構成されるコントローラーが必要です。組織は、クラウドネイティブのパブリッククラウドサービス、サードパーティのクラウドソリューション、マーケットプレイスイメージ、マネージドサービスプロバイダーサービスなどのサービスを、より管理しやすいマルチクラウド環境に統合することができます。1つのネームスペースとAPIを使用することで、すべてのストレージリソースを1つの集約型ダッシュボードから統合インフラとして簡単に管理できます。

マルチクラウドストレージにより、企業はプライベートクラウドとパブリッククラウドから複数のサイロ化されたストレージ環境を運用・管理しなければならないという複雑さを解消できます。ユーザーやアプリケーションは、アクセスするデータがどこに保存されているかを知る必要はありません。

マルチクラウドストレージのメリットとは?

マルチクラウドストレージを利用するメリットは、組織の構成によっていくつかあります。最も一般的なものは以下の通りです:

データ保護の強化

アプリケーションとデータはサービス間で分離されているため、1つのサービスが侵害されても限られたデータ量にしか影響しません。これにより、組織は攻撃を容易に隔離し、データのバックアップを遠隔地に確実に保存することができます。

柔軟性の向上

複数のベンダーのストレージサービスを利用することで、企業はベンダーロックインを回避し、二重化によってデータの耐久性を高めることができます。また、サービスを組み合わせることで、専門的な独自サービスへのアクセスも向上します。

コストの最適化

ストレージサービスを分割して利用できるため、企業はニーズに応じてコストとパフォーマンスのオプションをカスタマイズできます。マルチクラウド環境では、各サービスに最適な価格と料金体系を利用できます。

マルチクラウドストレージの課題とは?

マルチクラウドストレージは多くのメリットをもたらしますが、統一された方法でストレージを管理、保護、展開することは困難な場合があります。よくある課題には以下のようなものがあります:

複数のAPI

クラウドサービスはAPIを介して通信する。RESTfulなAPIはある程度標準化されているが、プロバイダーによってAPI構造は異なります。これには異なるルール構造や異なる言語が含まれます。このような違いは、サービス間の通信を可能にするためにアプリケーションのカスタマイズを必要とします。

互換性の問題

単一の環境にスムーズに統合するためには、ストレージサービスはクラウド間で互換性がある必要があります。これは、サービスが同じデータ構造に対応し、同じツールとの統合を可能にする必要があることを意味します。

複雑な管理

クラウドサービスや環境全体の可視性を確保するのは難しいです。一元的なモニタリングと、IDやアクセス制御などのサービスのフェデレーションが必要です。一元化しなければ、サービスに設定の違いやエラーが発生しやすくなり、脆弱性が増大します。

マルチクラウドストレージを企業のニーズに合わせてカスタマイズするには?

マルチクラウドストレージでは、プライベートクラウド、マルチクラウドやハイブリッドクラウド、パブリッククラウドなど、必要なストレージの種類を選択し、必要なときに必要なものだけを使うことができる。

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ハイブリッド・マルチクラウドの導入を促進する最重要課題を示す調査報告書

ハイブリッド・マルチクラウドは、オンプレミスのインフラと複数のパブリッククラウドを組み合わせることで、あらゆるアプリとデータを1か所で実行できるようにします。

ハイブリッド・マルチクラウド戦略による運用の効率化

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