「2024年は、積極的にデジタル化を進めることで、JR北海道のお客様に安定したサービスを提供できると確信した年でした。人口減少や少子高齢化が著しい土地柄、DXを駆使した業務の高効率化は必須であり、手間やコストをかけてでもデジタルファーストに大きく舵を切りました。Nutanixがその取り組みの基礎を支えてくれました」
北海道旅客鉄道株式会社 総合企画本部 情報システム部 部長 福士 明 氏
「JR北海道がシステムを選定する際の重要事項には、重要インフラ事業者としての安定性や導入実績の多さなどが挙げられます。マルチクラウドの統合プラットフォームという分野を切り拓いてきたNutanixは、この点で他のシステムが追随できない優位性を持っており、それを信頼するかたちになりました」
北海道旅客鉄道株式会社 総合企画本部 情報システム部
「複数の仮想化基盤を統合する為の仕組みがNutanixからようやく出てきたという感覚でした。従来の3Tier構成で繰り返していた、主管部毎にコストをかけて結果的に重複するシステムを増やしてきた経緯から、サーバーノードだけを追加していけばよい環境に変わったのは、効率の面で大変大きかったです」
ネットワンシステムズ株式会社 東日本第1事業本部 パブリック第3技術部 第4チーム エキスパート 奥山 寿貴 氏
北海道は全国で最も人口減少と少子高齢化が進んでいる自治体であり、今後、鉄道事業・開発事業ともに需要の減少が見込まれています。需要の維持・拡大のためには、顧客や市場の拡大と開拓が必要不可欠で、これに加えて鉄道オペレーションの担い手となる人材確保も大きな経営課題となっています。一方、コロナ禍の収束によって道内の観光流動の回復が急速に進み、旅客のみならずホテルや不動産を含めて、インバウンド需要の取込みが経営改善に向けた大きなテーマの1つとなっています。
JR北海道はそうした中、多岐にわたる社内業務プロセスの効率化や省力化を実現するために、全社的に無線LAN化やRPAの導入拡大、生成AIの活用検討、デジタル推進リーダーの育成等、デジタル化を積極的に推進し始めました。さらには、ICTインフラ運用の自動化に向けて自動化ツールを活用したり、インフラの集約および仮想化に向けたハードウェアならびにソフトウェアの導入範囲を拡大したりして、遅れていたデジタル化への取り組みをここ数年で急速に挽回させています。
従来、3Tier構成を採っていた業務システム基盤は、主管部単位で構築していたために機器の集約率が低く、無駄なリソースを抱え込むことによって大きなコストや手間がかかっていました。また、運用管理を必要とする機器数が多く、運用自体の負荷が非常に高い状況でもありました。そこで2019年より、Nutanix Cloud Platformを導入して主管部の垣根を越えた集約率の高い共通基盤を構築し、コスト削減と機器運用のシンプル化、負荷軽減を実現。現在ではオンプレミスの統合基盤上で200台近くの(仮想)サーバーが稼働しています。
JR北海道がオンプレミスにこだわる理由は「万が一クラウドサービスが停止した場合にそれを鉄道運行の停止理由として説明できないから」と情報システム部長の福士明氏は説明します。調達の際にはクラウド/オンプレミスを比較検討しましたが、基幹ネットワークや中央データセンターからの距離を考慮すると、専用線のコストや遅延の問題で「オンプレミスを選ばざるを得ない」(福士氏)とも言います。ただし今後、北海道内へのデータセンター誘致が進めば、マルチクラウドでの運用も俎上に上がってくると見ています。
一方、セキュリティ対策に関しては「クラウドファーストで運用」(福士氏)しています。セキュリティ対策は日進月歩で攻撃自体も巧妙化しているので、常に最新の状態でサービスを受けるパブリッククラウドの方がリーズナブルと見ています。加えて、セキュリティ専任人材の確保が難しいという問題もあります。JR北海道は現在、ホームページ向けのWAFやDDoS対策などはすべてクラウドで運用していると言います。
JR北海道の業務システム基盤における最大の課題は、主管部単位で構築した基盤の垣根を越える全社的に最適化した統合基盤の実現と、『作って終わり』ではない、複数世代にわたって社内外の状況に応じてシームレスに拡張・変更できる基盤の実現でした。こうした目的で、「ハードウェアには北海道に保守拠点のあるHPEを、ソフトウェアには先駆的な統合環境構築と多数の導入実績があるNutanix CloudPlatformが適している」(ネットワンシステムズの奥山寿貴氏)との判断から、「IaaS’20」と社内で呼ぶ統合基盤世代を2019年に導入・構築しました。
また、従来の3Tier構成の場合、管理する機器が多いデメリットがあり、世代全体にわたって運用保守する負担が大きいという問題もありました。保守管理の対象が少なくて済むよりコンパクトな管理が可能なNutanix Cloud Platformの採用によって、「持続可能な保守・運用のあり方が見えてきた」(JR北海道)と言います。さらに、「IaaS’20でNutanixを導入してから5年近く経つが、性能問題等が発生することなく安定稼働を続けており、汎用的なx86サーバー上でNutanixが提供する分散ストレージでも性能的に十分であることを確認できたのは大きい。」(JR北海道)と話します。
今後の展開としてまず直近は、「脱VMware化に向けたAHV採用のためのPoCを早速実施したい」(福士氏)と具体策を示します。次に、社内で9割方進めたサーバー基盤の集約を、今度は道内に散らばる17社あるグループ会社に展開したいとしています。業務システム等の基盤群はいまだにグループ会社個々が設置・運用している状況なので、これらを集約した共通基盤に統合していきたいとしています。
また、鉄道事業からホテル・不動産事業などへの多角化を考えた時に、現在のように1世代の開発に1年をかけるようなプロジェクト期間では遅いという声も主管部から出ていると言います。このために、「世代リプレースのサイクルをより短期間化し、主管部がアプリケーションを公開したいタイミングに合わせてリソースを提供できる体制を整えたい」(JR北海道)とします。そうした取り組みを「グループ会社を含めて推進することができれば、さらに新しい開発が進み、導入済みの共通基盤にビルトインされたNutanix Kubernetes Platform(NKP)のクラウドネイティブテクノロジーや生成AIモデルの運用、AIアプリケーションの開発を簡素化するNutanix Enterprise AI(NAI)にも期待している」と福士氏は述べています。
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