スカパーJSAT、衛星管制システムの基盤に Nutanix Enterprise Cloud OS を採用

企業

放送と通信の通信融合のトップランナー として、アジア最大の 17 機の衛星を保有 する、有料多チャンネル放送と衛星通信 を提供している国内唯一の事業会社。 加入者数約 300 万を誇る日本最大の衛星 多チャンネルプラットフォーム「スカパー!」 を通じて多種多様なエンタテインメント をお届けし、日本・アジア・オセアニア・ ロシア・中東・ハワイ・北米をカバーする 衛星通信サービスは、「社会の安心・安全」 を支えている

業界

衛星放送業界

課題

  • 衛星の運用機数増に対応できない 拡張性の低さ
  • 可用性の低さ

ソリューション

  • Nutanix NXシリーズ
  • Nutanix Enterprise Cloud OS

アプリケーション

  • 衛星管制システム
  • 軌道解析ソフトウェア
  • 地上アンテナおよびRF制御システム

導入によるビジネスのメリット

  • 寿命の長い衛星の運用機数増に合わせて柔軟にスケールアウトできる高い拡張性を実現
  • 可用性の向上
  • 電気使用量を大幅に削減
  • 10本を超えるラックスペースを開放
  • 圧縮機能によってデータ容量を50%削減

「Nutanixであればノードを追加するだけのシンプル な手順でスケールアウトできるため安心です」

「スケールアウトしやすく、アップグレードや更改も 容易に行え、障害時でも可能な限り冗長性が維持され る点に魅力を感じました」

「コストを抑えた最適な提案ができる環境が整備 でき、衛星運用をサービスとして展開していく準備を 整えることができたのは大きな効果です」

導入の背景

2008 年にスカイパーフェクト・コミュニケーションズ、JSAT、宇宙通信の3 社が合併して誕生したスカパーJSAT 株式会社。日本最大 の有料多チャンネル放送「スカパー!」を展開するメディア事業と、アジア最大となる17 機の通信衛星を保有する宇宙事業の2 つの事業 を展開しており、「商用衛星だけでなく、光データ通信事業への参画や低軌道衛星向け地上局サービスの受注や他社の保有する衛星の運 用受託など、さまざまな事業を展開しています」と技術運用部門 衛星技術本部 衛星運用部長 長井 広明氏は事業概要について語ります。

スカパーJSAT は、2008 年の3 社合併後に管理対象となる衛星が増えるなか、東日本大震災の際に衛星通信の耐災害性が改めて見直され たことを契機に、自社で運用可能な環境づくりに向けて新たに管制SE チームを新設しました。

2014 年頃に、これまで運用してきた基盤を見直し、はじめて仮想化に取り組みました。「当時課題になっていたのが、管制システムのハードウェア の寿命と衛星の寿命のギャップでした。5 年ほどで寿命を迎えるIT 機器と違い、衛星の寿命は15 年以上。管制システムも同様に使い 続けるには、サーバーを定期的に更改する必要があります。更改時における様々な課題に対して柔軟に対応できるよう、仮想化に取り組む ことになりました」と同部 管制SE チーム アシスタントマネージャー 水沼 厚氏は当時を振り返ります。

まず、小規模な3 層アーキテクチャー構成の仮想基盤を導入しました。しかし、ストレージがシングル構成でレプリケーションが行われて おらず、ストレージコントローラの障害対応時にシステム停止を余儀なくされるなど運用上の課題が顕在化していました。また、今後の衛星 打ち上げの計画や新たな衛星運用受託案件の獲得なども考慮すると、柔軟にスケールアウトできる環境が求められていました。同時に、 不安定だったバックアップの見直しをはじめ、重複排除や圧縮機能でディスク容量を最小限に抑えることができる環境構築を検討することに なりました。

ソリューション

そこで渡邉氏の目に留まったのがNutanix Enterprise Cloud OS でした。「スケールアウトしやすく、アップグレードや更改も容易に行え、 障害時でも可能な限り冗長性が維持される点に魅力を感じました」と渡邉氏は語ります。

「なかでもNutanix はHCI 市場を切り開いてきたベンダーであり、豊富な実績に基づく市場評価の高さが大きな魅力でした」と渡邉氏は評価 します。「いくつかの製品を事前検証するなかで我々としても品質が良いと感じたのがNutanix でした。Nutanix バイブルといった技術を公開 する姿勢をはじめ、顧客満足度の高さやサポート品質など、さまざまな面で期待が持てました。Nutanix の管理ツールであるPrism が洗練 されている点も高く評価しました」と渡邉氏は語ります。

導入効果

Nutanix の分散ストレージの環境によって、これまで課題だった可用性や拡張性に対して最適な形で環境づくりが実装できています。 「IT インフラ全体を少人数で内製対応している我々のようなユーザー部門にとって、ストレージの複雑な構成やサイロ化を意識する 必要が無くなったのは大きなメリットです」と渡邉氏は評価します。なお、以前の環境では不安定だったバックアップですが、安定して 運用ができている状況です。「Nutanix であればノードを追加するだけのシンプルな手順でスケールアウトできるため安心です」と長井氏 は語ります。

「HCI はメリットが多い反面、我々ユーザーから仕組みが把握しきれない部分が増えるため、何かあった時のサポート品質が重要である と感じていました。Nutanix のサポートにウェブで問い合わせたところ、数十分程度でフィードバックをいただくこともあり、技術力の高さ と迅速に対応できるサポート体制に安心しました」と渡邉氏は高く評価します。

また今回Nutanix での衛星運用実績ができたことで、ビジネスニーズに応じた展開がしやすくなっています。「衛星運用受託サービスを提案 していく際にも、システム構築から運用までを柔軟かつリーズナブルに提供できるインフラが構築できました。コストを抑えた最適な提案が できる環境が整備でき、衛星運用をサービスとして展開していく準備を整えることができたのは大きな効果です」と水沼氏は評価します。

新たに仮想環境およびNutanix Enterprise Cloud OS の環境に移行したことで、サーバーメンテナンスの負担を大幅に減らすことに 成功しただけでなく、10 本を超えるラックスペースを削減するなど、サーバールームのスペース効率を高めることにも貢献しています。 また電気使用量も大幅に削減することにつながりました。「管理部門から電気使用量が激減したという報告があるほど、目に見えて削減 できています」と長井氏は語ります。また、Nutanix が持つ圧縮機能によってデータ容量を50% 削減しました。

今後の展開

現在、衛星管制システムや軌道解析ソフトウェア、地上アンテナ・RF に関する管制の仕組みなどがワークロードとして稼働しています。 Zabbix などIT 系の監視システムやActive Directory などの認証系システムなど異なるサーバー群で動いているシステムも将来的には Nutanix の基盤に統合していく計画となっています。

また今後は異なるセンターで運用しているシステムをNutanix 内に取り込んでいくことが検討されており、顧客に提供するサービスも随時 Nutanix に集約していきたいと長井氏は語ります。「現在運用している多数のファイルサーバーをNutanix に乗せれば、冗長化やバック アップ取得、スケールアウトも容易です。可能であればファイルサーバーとして利用できるNutanix Files を試してみたいと考えています」 と渡邉氏は今後にも期待します。