• 障害回避と運用管理の簡素化でスムーズな事業計画進行
• BCPに有効な高レベルのビルトインセキュリティ
• ITシステム標準化によるグループ全体のコスト削減
「 IT化は業界として遅れ気味の医療分野でも必須の事項ですが、導入効果として患者様の満足度が上がることが重要です。『診療が面倒になった』と言われるようでは本末転倒です。他の病院にはない『IT化の進んだ病院』というサービスを目指しています」
戸田中央メディカルケアグループ(TMG)は、1都4県に、29病院と6つの老人保健施設、特別養護老人ホーム、クリニック、健診センター、訪問看護ステーションなど、合わせて119カ所の関連事業所を展開しています。その中枢機能を担うのが戸田中央総合病院で、500床を超える病床と1日1,000人以上の来院患者を抱える関東近郊でも有数の巨大私立病院です。
多様な医療機器が部門システムに接続するため、システムの更改時は、毎回、巨額な投資が必要になってしまうと共に、セキュリティを含む管理上の問題なども頻発していました。そこで、ITの運用管理をシンプルにして、グループ内でインフラ管理を実現する仕組み作りと、耐障害性に優れたアーキテクチャの選定が急務となっていました。
医療DXを推進する上で、厚生労働省が推進する医療情報ガイドラインに記載されるランサムウェア対策やBCP対策も不可欠でした。また、TMG内のIT標準化を進めることで診療業務の効率化を図り、スケールメリットを活かした医療機器・材料のコスト適正化が必要となりました。
今回、TMGが導入したNutanix上で稼働している業務は、おもに電子カルテシステムと部門システムです。クラウドベースとオンプレミスのハイブリッド型とし、セキュリティとプライバシー保護を最優先に構築しました。電子カルテシステムは患者の来院予約や医療記録管理に利用し、部門システムでは、例えば薬剤管理システムを薬剤の使用状況や在庫状況などの管理などに使用しています。
この今回のシステム導入のもう一つの大きな目的は、TMG内での標準化です。TMGを親会社にもつTMソリューションは、上記29病院・119カ所の関連事業所のシステム導入や運用保守などを統括して管理しています。標準化プロジェクトは2022年に始まり、今年、Nutanixで集約しました。 「IT化は業界として遅れ気味の医療分野でも必須の事項ですが、導入効果として患者様の満足度が上がることが重要です。『診療が面倒になった』と言われるようでは本末転倒です。他の病院にはない 『IT化の進んだ病院』 というサービスを目指しています」と、TMソリューション 管理部長の田上 明氏は述べています。
「Nutanixの導入前は、実績が少ないため不安にかられることもありましたが、TMGグループ最大の病院で大きなトラブル無く稼働させることができたため、他の病院にも 『実績あり』と自信を持って説明できるようになりました」とシステム事業部システム技術グループ 担当部長の平田 泰之氏は言います。
最大の導入効果は、Nutanixを導入してから、まだ1回もトラブルが起きていないことです。アプリケーションや仮想マシン、サーバー、ストレージに一元的に管理することで、運用の簡素化も実現できました。こうした障害の無さやシンプルな管理画面によって、全体のIT計画が妨げられることなく進行でき、TMソリューションの事業上の大きなメリットにつながっています。
また、以前は、各病院におけるITスキルにバラつきがあり、システム不具合による対応遅れなどが診療業務に影響する問題がありましたが、Nutanix のソフトウェアによる自己修復機能や無停止でのアップグレードなど、効果的で実質的な対策が可能になりました。標準仕様で高レベルのセキュリティがビルトインされているところも、BCPに対して有効に働く要素でした。
「これまでのTMGの部門システムは、アプリケーションを増やすたびにシステムが増えていき、物理的に場所を圧迫するという問題を無視できませんでした。Nutanixなら、スモールスタートしたのち必要に応じてスケールアウトできるため、運用や保守などの効率化が図れ、NutanixのアーキテクチャのメリットがTMGの運用方針と合致しました」と、システム事業部システム技術グループ主任の斎藤 陽氏は語ってくださいました。
現在、TMGは、所属する各病院関連施設のシステムを段階的に導入しています。システム統合を図ることによって、運用管理の効率化と、限りあるIT人材の集中配置を実現していく予定です。
また、TMG全体のシステムの安定稼働(無停止運用)とセキュリティ強化を引き続き実現し、安全安心な医療体制を地域に提供していきます。特にコロナ禍で加速した訪問医療サービスでは、個人情報保護などのセキュリティは重要になります。こうしたセキュリティを確保しながら、さらに医療機関としての持続可能性を求めて、サービス品質を向上させながら患者の満足度を高め、他にはない「IT化の進んだ病院」という付加価値を提供していきたいとしています。
TMソリューション株式会社
システム事業部 システム技術グループ 担当部長
平田 泰之 氏
TMソリューション株式会社
システム事業部 システム技術 グループ主任
斎藤 陽 氏