Broadcom による買収で VMware ユーザー企業に起こり得る 9 つの影響

VMware を使用されているお客さま、とりわけ Broadcom による CA や Symantec の買収を覚えている人々が、価格やパッケージ、販売範囲、製品計画、サポートについて懸念を表明しています。

Broadcom が 1 年がかりの計画ののち、3 年間で VMware の収益性をほぼ倍増させる改革案を迅速に断行しようとしていることは間違いありません¹ 。公表され、既に進行しているものだけでも、従業員の解雇²や製品のバンドル変更³、チャネル契約の解除⁴、上位 2,000 社の顧客に対する直接販売モデル⁵ があります。

予測される 9 つの影響

ビジネスモデルの変化が顧客に予期せぬ影響をもたらすことはよくあることです。現在、Nutanix には、VMware を使用されている多くのお客さまから、今回の Broadcom による買収の影響を最小限に抑える方法について私たちのアドバイスを求める声が寄せられています。そのような声に応えて、Broadcom の戦略が実行されたときにユーザーが直面するであろう影響について、上位 9 個をリストにしました。

1. 大半の VMware ユーザーの経済的負担が増える：Broadcom は値上げに重点を置くつもりはないと述べています⁶。しかし、新たなバンドル戦略は、大半のユーザーにとって実質的な値上がりにつながると私たちは考えます。例えば、vSphere ENT+ は、vSAN と Aria（旧称 vRealize） ライセンスとのバンドルでのみ利用できるようになっており、この製品のユーザー（特に、HCI ユーザーでない vSphere ユーザー）は 2〜3 倍の値上がりが予測されます。バンドル変更によるその他の影響については、こちらのブログをご覧ください。
2. レガシーストレージ戦略が長期化：SAN や NAS へ投資する正当な理由として、物理サーバーから仮想サーバーへの移行による統合的なメリットがよくあげられますが、それもハイパーバイザーの追加コストによって相殺されます。SAN や NAS のユーザーは、vSphere の実質的なコスト増加に応じて TCO 及び ROI モデルを更新するようプロバイダに要求すべきです。
3. チャネルパートナーが VMware への投資を削減する：VMware は 65,000 社のリセラーパートナー⁷ と、4,500 社のアクティブなクラウドプロバイダ、ハイパースケーラーおよびマネージドサービスプロバイダ⁸を抱えています。私たちの試算では、Broadcom が VMware の上位 2,000 社の顧客を直接獲得するという計画によりチャネルマージンが最大 6 億 5,000 万ドル削減され、その結果、チャネルパートナーが提供する VMware の導入・サポートのリソースも少なくなる可能性があります。
4. Dell、HPE、Lenovo も同様に VMware への投資を削減する：VMware は Dell や HPE、 Lenovo といった最大手のシステムプロバイダーとも広範な関係を築いています。通常、共同契約を履行するのはチャネルパートナーで、チャネルパートナーがソリューションの総額に対する利ざやを確定させます。システム企業は VMware 製品を宣伝することでチャネルパートナーが離れていくリスクを抱えており、チャネルパートナーが扱いやすい代替製品を探す可能性があります。
5. VMware の EUC がオープンになる：VMware Horizon と View のソリューション販売及びサポート戦略は、主に vSphere と結びついています。もし報じられているとおりに Broadcom が EUC 事業を手放すと⁹、EUC の新たな事業主が、市場リーチの拡大及び vSphere Ent+ の実質コスト回避のために、他のハイパーバイザーによるサポートを提供するかもしれません。
6. VMC が VMware のマネージドサービスでなくなる：マネージドサービスはクラウドリソースへの重点的な投資が必要であり、コストがかかります。Broadcom がコスト抑制に注力することで、 VMC はユーザーかプロバイダが管理するサービスになる可能性があります。そうすると、既存の VMC ユーザー全てに切り替えコストが発生するかもしれません。
7. Dell が VxRail から ScalelO へ軸足を移す：VxRail は Dell と VMware の共同 HCI 製品です。Broadcom が直接販売に乗り出すと、VxRail を販売するうえで Dell と Broadcom の間で共同販売及びアカウント管理の共有が必要となるでしょう。その結果 Dell は 、たとえ HCI エクスペリエンスを提供できなくなるとしても、vSAN の代替 として ScaleIO を使用する可能性があります。
8. DPU 導入が遅れる：もし vSphere Ent+ のバンドル戦略と実質コストの上昇が、より複雑な DPU 環境にまで影響するとなると、NVIDIA や HPE 、Intel の SmartNIC や DPU の導入を検討しているユーザーの計画に遅れが生じる可能性があります。
9. カスタマーサポートが変わる：従業員の解雇の進行により VMware の販売範囲が変わり、VMware の上位 2,000 社の顧客がチャネルパートナーによるサポートを失う恐れがあります。

以上の予測される影響やその他の懸念について、私たちは日々お客さまと話し合っています。VMware 関連の状況の変化に対応し、これらのリスクやその他のリスクを切り抜けるために、私たちにお手伝いできることをお知らせください。