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アプリ開発にAPI中心のアプローチを

マイケル・ブレナー*/ Marketing Insider Group, CEO


API中心のアプローチが生み出すメリットおよび本アプローチへの移行に必要なツールについて考察する。

テクノロジーを活用して価値提供を目指す多くの企業にとっては、アプリケーションの開発は必要不可欠だ。プログラムごとに実行させたいタスクは異なるため、デベロッパーもまた、その方法を多くの選択肢の中から選ぶことになる。

アプリ開発はその複雑さによって、長く煩わしいプロセスを伴いがちだ。これをスマートに進める手段はないのか。API中心のアプローチはアプリ開発をスピード化することにより、この問題を解決することができる。

API中心のアプローチとは

API中心のアプローチとは、API(アプリケーションプログラミングインタフェース)を活用してウェブサービスを構築する手法を指し、APIはアプリケーション間のデータ交換を担っている。そのため、このアプロ―チで開発されたアプリはフロントエンドとバックエンドの通信を可能にする機能を備えている。

API中心のアプリ開発方法

API中心のアプリは、プログラマーが各機能やクラスが他の要素と相互運用できるように、また様々な言語で実装できるように設計・構築されている。

このプロセスでは、アプリのバックエンドを利用してコンポーネント(オペレーティングシステム、データベース、他のAPIなど)間のデータ交換をスムーズにするほか、デベロッパーが個々のアプリケーションを一つのサーバーに保存することで、さまざまなフロントエンドインターフェイス(ブラウザ、デバイスなど)との設定を可能にする。

最新型のアプリケーションは複数のインターフェイスを使用するため、この機能が不可欠であるとともに、各アプリケーションが全てのインターフェイスと接続されている必要がある。

これをスムーズかつ大規模に行うためにはクラウドが有効だ。しかし、クラウドはアプリケーションの管理をシンプルにする一方で、セキュリティ面での不安も残すことだろう。さまざまな脅威に打ち勝つため、セキュリティファーストのアプローチを採用することが重要になる。

API中心の開発がDXに与えるインパクト

ほとんどの企業が、デジタルトランスフォーメーション(DX)をその戦略のひとつに掲げているが、その方法は企業によって異なる。

ビジネスのデジタル化は、単に最新のテクノロジーを保有するということではなく、保持しているテクノロジーを活用し、その真の価値を引き出すことによりデジタルトランスフォーメーションを成功に導くことにほかならない。

これには効率化やプロセスの改善が含まれることも多いと言えよう。APIは、このような状況下にあるデータ、システム、そして人をつなげる重要な役割を果たしている。

API中心のアプローチのメリット

APIはアプリケーションとサービスを結びつける接着剤のようなものだ。アプリケーションの開発にこのアプローチを採用することで、次のようなメリットを含め、ビジネスに大きな恩恵をもたらす。

●ソフトウェア開発を迅速かつ簡単にーソフトウェア開発が「簡単」とされることはめったにない。しかし、どんなアプリケーションの設計であれ、今より簡単にすることは可能だ。API中心のアプローチはプロセスを合理化するだけでなく、コード生成作業の軽減にもつながる。

●ユーザーエクスペリエンスの向上ー「There’s an app for that(なにをするにもアプリがある)」という時代が到来する以前、デベロッパーはユーザーエクスペリエンスをあまり重視していなかった。プログラムをロジカルに構築することのみに集中すればよくて、それで業務は完了していた。

その結果、共感を呼ぶようなデザイン性は自ずと欠如し、最終製品に対する需要も低迷した。さらには、設計するエンジニアのモチベーションも下がってしまった、というわけだ。しかし、APIの登場により、プログラマーの視点は変化する。ユーザーエクスペリエンスをより理解できるようになったからだ。

コードの一貫性と継続性は飛躍的に向上した。API中心のアプローチでは、デベロッパーは企業全体にビルド済みAPIを使用する。これにより、同一プラットフォーム上で実行するアプリに対し高い一貫性を提供している。また、APIを使用することでコードのメンテナンス頻度を減らし、継続性の向上を図ることもできる。

●デバイスに縛られないー使用されるデバイスを問わず、インプットの取得および機能の実行が可能になる。互換性はもはや障害にならない。

●多様な技術原理の採用を促進ー最新の技術原理に触れ、今すぐ活用することができる。まず、IoT(モノのインターネット)/AI(人工知能)搭載アプリの開発や展開をよりスムーズに実現するため、企業の様々な分野で効率性が向上する。加えてAPIは自動化機能をサポートするため、従業員による手作業の軽減にもつながるだろう。

●アジリティを維持した適合性ーアプリは社内外のさまざまな要因により、将来的にアップデートや抜本的な見直しをする必要性がある。API中心のアプローチは、アプリケーションの実装とAPIの開発を切り離すことができる点で優れており、この場合、アプリは単なる実装すべきパーツという役割を超えて、適合性や最適化を向上させる重要な要素となる。

業界を問わず変化を避けられない時代だが、アプリの構築をこのアプローチに切り替えるだけで、そのマイナスの影響を軽減することができるのだ。

●記述の強化ーシームレスな管理を実現するためには技術者かどうかにかかわらず、あらゆる関係者がAPIを容易に理解できる状況を整えなければならない。その時間のほとんどが、API機能を詳述するドキュメンテーション(全ステークホルダーが理解できるもの)の作成に当てられている。

API中心のアプローチを採用することで、ドキュメンテーションの標準化がはるかに簡単になるだけでなく、標準から逸脱する内容がある場合にも簡単に追加作成することができる。

API中心のアプローチへの移行

APIを使用してテクノロジー間のギャップを埋めるにはツールが必要だ。ITシステムをHCI(ハイパーコンバージド・インフラストラクチャ)に移行することにより、リソース(自社で所有するか、ベンダーからレンタルしているかにかかわらず)のスケーリングや管理が容易になるため、API中心の開発を促進することができる。

●Nutanix Enterprise CloudーNutanix Enterprise Cloudのプラットフォームは、ものごとをできるだけシンプルにし、最適なパフォーマンスと可用性が価値実現までの時間を短縮する。

すでにお伝えした通り、APIアプリの開発には堅牢なクラウドが必要だ。Nutanixのクラウドを採用することによって、パフォーマンス予測や高い可用性を実現できるほか、管理もワンクリックで行うことができる。

●最新のデータセンター ーHCIは複雑性を解消し、レガシーシステムに対する依存度を軽減することでコスト削減を可能とするソリューション。従来型のデータセンターで現代のビジネススピードに対応することは簡単ではないが、HCIを採用することでインフラストラクチャをよりアジャイルに、よりインテリジェントに進化させ、総保有コストの削減につなげることができる。

●ハイブリッドクラウドー企業全体のAPI関連業務の統合にハイブリッドクラウドを採用することでアプリやデータを余さず一元管理することができる。また、マルチクラウド環境のアプリケーションは可動性が高いため、必要に応じて別のクラウドに移行させることも可能だ。さらには、アプリの管理がその基盤であるインフラストラクチャから切り離されるため、アプリ間の相互運用性も向上する。それこそがこのソリューションの真のメリットといえるだろう。

(2020年7月1日, THE FORECAST by NUTANIX)記事構成:ニュータニックス・ニュース! 編集部, Nutanix Japan

*マイケル・ブレナー氏はMarketing Insider Groupの主宰者、編集人、およびCEO。ブレナー氏は、Forbes、アントレプレナーマガジン、ガーディアンなどの経済ニュースサイトで数百の記事を寄稿。マーケティング、リーダーシップ、ITテクノロジー、ビジネス戦略などのトピックをカバーするリーダーシップ会議で多くの講演を行っている。

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