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コロナ禍で生まれた距離、クラウドテクノロジーが人々をつなぐ

チェイス・ガットマン */ドローン専門テクニカルライター


コロナ禍によってソーシャルディスタンスが叫ばれる中、ビデオ会議からバーチャルリアリティまで、クラウドベースのテクノロジーを活用して人々はつながり続けている。

新型コロナウイルスの世界的感染拡大に伴い、地球上の何十億もの人々は巣ごもり生活を強いられ、各国政府が示すソーシャルディスタンスのガイドラインを遵守しながら日々を過ごしている。

目に見えない病原体により、人間的な営みである面と向かいあったコミュニケーションは難しくなった。そこで、外出自粛による寂しさや孤独感を解消するために、多くの人々がテクノロジーに注目している。

しかし、ここで疑問が生じる。本当にテクノロジーは人々のつながりを支えたのか。逆に、孤立に追い込んだのではないか。社会とつながるためにテクノロジーを使うことが日常となり、社会における人間関係のあり方が、新型コロナウイルスによって再定義されていることは明らかだ。

新型コロナウイルスに起因する病によって生まれた人と人の隙間にテクノロジーが入り込み、その溝を埋めているのだ。3Aインスティチュートの上級研究員、エレン・ブロード氏は次のように述べている。

ブロード氏 「物理的に距離を取るよう求められる中、テクノロジーを使ってデジタルにつながり続ける―こうした状況を、国際社会として初めて体験しています」

3Aインスティチュートは、AI(人工知能)を安全かつサスティナブルに、そして責任あるかたちで活用することでエンジニアリングに新たな領域の創出を目指す組織だ。

ブロード氏 「テクノロジーが新たな存在価値を獲得しつつあります。テクノロジーはこれまでにはなかったスタイルで人間の役割を肩代わりし始めているのです」

クラウドでつながる

とりわけ、クラウドベースのプラットフォーム、ツール、デバイスは、ご近所さん、離れて暮らす家族、世界各国で働く友人たちとのつながりを支えている。「私たちは未知の領域に足を踏み入れているのです」とブロード氏。「パンデミックが起こる前は、テクノロジーはコミュニケーションや仕事、学びを補うものでした。私たちは今、テクノロジーへの頼り方を模索し、共にその新しい形態を作り上げているのだと思います。テクノロジーが私たちの生活においてどんな役割を果たすのかは、そのうちはっきりと見えてくるはずです」とブロード氏は続けた。

コロナウイルスによるコミュニケーションの穴を埋めるべく登場したテクノロジーの1つに、ビデオ会議プラットフォームのZoomがある。同社の資料によると、「人中心のクラウドサービスを開発し、リアルタイムのコラボレーション体験を変革するとともに、コミュニケーションの質と効果を絶えず向上させること」 がミッションとされている。

このミッションはウィズコロナ時代を生きる人々がつながるにあたって、なくてはならない手段となっている。


「外出自粛を開始した日、友人の一人がZoomの使い方を教えてくれました」こう話すのはロサンゼルス在住のZoomユーザー、ヒラリー・ジャッケンドフ氏だ。米国で外出禁止令が出されて以来、Zoomでヨガニードラの瞑想クラスを開催している。

ジャッケンドフ氏 「クラスに参加するのは1日あたり約30~60人、英国やナイジェリア、それにイスラエルなど、世界中からアクセスがあります。リアルタイムでつながることができ、本当に素晴らしいと感じています」

人々と空間を共にし、ことばを交わすことが心地いいと、参加者も話しているとのこと。ジャッケンドフ氏は続ける―「カメラをオンにすれば、お互いの姿を確認しつながりを感じることができます。安全が十分に確保される環境で、深いリラクゼーションを体験してほしいと考えています」

土曜の夜には人で溢れかえり、多くの人の熱気に包まれていたニューヨーク市のナイトクラブ「House of Yes」は今年3月、新型コロナウイルスにより突如休業を余儀なくされた。以来、Zoomやライブ配信プラットフォームのTwitchを活用した「デジタルダンスパーティー」イベントなど週末イベントを継続して開催している。
「House of Yes」のマーケティングディレクター、ジャッキー・ラブキン氏は次のように話す。

ラブキン氏 「立ち止まることなく、踊り続け、創造し続け、つながり続けることが重要です。人間らしくあり続けるために必要な要素とも言えるでしょう。困難な時代にもクリエイティビティを発揮し続け、新たな方法を見出して人との関係を育んでいくことが大切なのです」

続けて―「ここに集うお客様は『デジタルでつながり、どんな方法であれ一緒に踊りたい』そう望んでくれるだろうと確信していました。みなさん、衣装や小道具に工夫を凝らし、ビデオを通してダンスを披露しあっています。盛り上がっていますよ」。

「House of Yes」にとってオンラインへの移行はチャレンジだったが、同時にチャンスでもあった。

「より多くの人々が世界中からアクセスできるという点では、デジタルへの移行には大きな期待を寄せています。物理的にクラブへ足を運べないお客様でも参加できますからね。あらゆる意味で客層が広がりました。お客様のご両親やお子さんのほか、まだ小さい赤ちゃんやペットまでデジタルパーティに参加しています。家族そろってパーティにアクセスし、みんなでダンスを楽しんでいます」とラブキン氏。

「House of Yes」はZoomを活用してバーレスク講座やドラッグ・ショーもオンラインで企画している。Zoomは今や、あらゆるイベント事(お祝い事やハッピー・アワー、スタンダップコメディ、大学の講義、ビジネスミーティング、イースターやペサハを祝う食事、そして葬式まで)を支えるプラットフォームとして受け入れられている。

イノベーションは孤立を防げるか

Netflix PartyやDiscordも、バーチャルなつながりを後押ししている。Netflix PartyはGoogle Chromeの拡張機能で、Netflixの映画やテレビ番組を別の部屋や都市、国にいる友人と一緒に視聴することができるというサービスだ。

Discordを使えば、仲間とプレイ中のビデオゲームをライブ配信することができる。バーチャルリアリティでは自宅にいながらして現実の枠を超えた世界を体験することで、より深い没入感を得ることができる。

VRChatは、バーチャルリアリティのこうした感覚を利用しながら、コミュニティに重点をおいたツールだ。

「バーチャルリアリティは可能な限り人の動きをトラッキングするため、意思の疎通や感情表現だけでなく、また人とのつながりやコミュニケーションも、通常のオンラインゲームを超える水準を提供します」と話すのは、アヴ(Aev)の名で知られるVRChatのコミュニティマネージャー。

「現実の日常生活でのコミュニケーションと同じように、ユーザーはお互いにボディランゲージを使いながら人間関係を構築することができます。自宅で安全を確保しながらも、人間的なやり方で協力することができるのです」とアヴ。

こうした社会的つながりには大きな力があるため、当初はただの時間潰しであったものが本当の友情を育む機会へと変貌を遂げることもある。社会的孤立が懸念される現在、テクノロジーが人々のつながりを支援するひとつの例と言えるだろう。

「派閥や趣味、生活圏が異なっていた人々の間でも、友人関係が生まれています」とアヴ。「離れた場所にいる相手と協力し、現実の枠を超えて多くの世界を体験します。バーチャルリアリティのギアがなくてもコミュニケーションに参加できるため、ますます友人の輪が広がっていきます」とアブは話した。

こうしたゲームにはクラウドが活用されているため、ユーザーは自作のアバターや「ワールド」を開発したりして、アップロードすることもできる。

テクノロジーで一体感を維持

これらの企業は、社会的孤立や孤独感の解決にクラウドベースのテクノロジーを活用することにより、外出自粛を続ける人々の交流をサポートしている。

「人類が経験したパンデミックとして最も記憶に新しいウィルス、スペイン風邪は1918年に大流行しましたが、当時の人々は「つながる」という意味において、現在に比べてずっと狭い世界で生きていました」と3Aインスティチュートの上級研究員のブロード氏。

ブロード氏 「しかし現在は デバイスの飽和状態が進み、誰もがウェブに接続できるため、あらゆるものごとが急加速的に進められるようになりました。スピードも規模も、今回の変化は前代未聞です」

新型コロナウイルスが収束した後も、社会におけるこうした流れは残るだろう。例えば、バーチャルなコミュニケーションは、コロナ禍によりその信頼性が実証されたことから、今後数年間は人とテクノロジーとのつながり方、そして人同士のつながり方に影響を与えていくだろう。

「ノーマルに戻ることはありません。だって、元来、ノーマルな状態など存在しないのですから。文化として継承とされる習慣や意識・姿勢は、常に少しずつ変化しています。私たちはテクノロジーとともに様々な岐路に立たされているのです」とブロード氏は話した。

(2020年4月29日, THE FORECAST by NUTANIX)記事構成:ニュータニックス・ニュース! 編集部, Nutanix Japan

*チェイス・ガットマン氏はドローンを専門とするテクニカルライター。旅行写真家、ドローン撮影監督、作家、講師、インストラクター。著書「ドローン写真ハンドブック」は、このトピックについて最初に書かれたものの1つであり、批評家の称賛を受けた。

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