オンプレミスな IT は必ずしも時代遅れではない。次世 代型のデータセンターを採用すれば、リソースの稼働 率が向上し、クラウドコンピューティングに匹敵する エンドユーザーエクスペリエンスを実現することができる。
データは、現代のあらゆるデジタルビジネスにおいて 生命線といえるだろう。世界の IT 支出を予測したガー トナーのレポートによると、2020 年はデータセンター システムに充てられる資金が 2.6% 増加し、2,100 億ド ルにまで達する見込みだ。
米国でいえば、こうした資金の行く先はクラウドベー スのソリューションだということになるだろう。また、 世界中でクラウドに費やされる金額のうち、半分以上 を占めるのは米国企業だといわれている。多くの企業 にとって、データセンターの稼働率を上げるというこ とは、相当量のワークロードをクラウドへ移行するこ とを意味する。
クラウドは使いやすく、アジリティーの向上やコスト の削減に寄与するがそれも数ある利点のほんの一部に 過ぎない。しかし、ワークロードの種類によっては、 今後も従来のデータセンターを活用することになるだろう。
例えばビッグデータのユースケースを考えると、クラ ウドソリューションで実行するにはデータの量が多すぎる。また、医療や金融といった規制産業では、しば らくの間オンプレミスのデータセンターを保持しておく必要がある。
ここで耳寄りな話を紹介したいーー冒頭にも述べたが、オンプレミスは必ずしも時代遅れではない。次世代型の仮想化ツールでは、総じてオンプレミスでもクラウドのようなユーザーエクスペリエンスが提供されてい る。企業は実質両方のメリットを享受することができ るし、規制要件を満たしながら、同時にリソースの稼働率を向上させることが可能なのだ。
次世代のデータセンターは集約型
現代企業がデータストレージに対する要件を明確化するなか、データセンターのテクノロジーも変化する需 要に応えて進化を遂げてきた。
●ハイパーコンバージドインフラストラクチャーーま ず、データセンターにおいて効率性や稼働率を向上さ せたいと望む企業は、HCI(ハイパーコンバージドイン フラストラクチャ)に注目した。
独立型のストレージやコンピューティングレイヤ―を 排除することで、このような新しいデータセンターで は複雑さが解消されて利便性の強化につながっている。 自社に適したハードウェアを選ぶだけで、すぐにデー タセンターの運用が実現するようになった。
しかし、HCI に秘められた可能性を最大限に引き出す には、依然として仮想化ツールを別に用意する必要があった。
●仮想化ツールも集約ーー次に、仮想化ツール自体も 集約されたため、専用ハイパーバイザーの複雑さに対処する必要がなくなった。代わりに選択できるのは、 HCI スタックに組み込まれるハイパーバイザーだ。
こうしたネイティブなスーパーバイザーは、インフラ ストラクチャにおけるコスト削減と複雑さの解消を叶 えながら、より優れたパフォーマンスを発揮している。
そして進化を遂げながらも、これまでは、インフラス トラクチャ管理、ネットワーク、自動化オーケストレー ションなどのツールについては、補足的に購入する必 要があった。顧客は自社で追加するツールをビルドし、 統合しなければならなかった。
●仮想データセンターをエンドツーエンドで管理ーー 今日、仮想データセンターをエンドツーエンドで管理 できる機能が備わったために、複雑なシステムを扱い、 段階的なプロセスを踏んでいたものがクリック数回程 度の作業で済むようになった。
これらのソリューションは、インフラストラクチャ管 理、ストレージ管理、ネットワーク、セキュリティ、プランニング、自動化、オーケストレーション、そし てパフォーマンスの監視といった要素を実質的に組み 合わせ、ひとつのツールへ合理的に集約させたものといえる。
作業が大幅に軽減されるため、仮想データセンターを エンドツーエンドで管理すれば、運用コストの削減と ユーザーエクスペリエンスの強化につながるのだ。そ して、多くの場合、クラウドコンピューティングに匹 敵する水準に到達する。
集約型データセンターで 稼働率を向上
数々のこれらの進化は、ビジネスの世界にどのような 貢献をもたらすのだろうか。すべてが集約されたデー タセンターは、リソースの稼働率や効率性の向上をど のように実現するのだろうか。
●クラウドライクなオンプレミスソリューションーー 業界の規制やデータの保存規定等に縛られない企業に とっては、多くの場合、クラウドベースのデータセン ターが最も効率のよいソリューションとなるだろう。
業界規制の遵守が必要な企業の場合、クラウドとオン プレミスインフラストラクチャを接続する、ハイブリッ ドクラウドという選択が最適だ。問題は従来型の仮想 データセンターに依存している場合、2 つのまったく異 なる環境を管理する必要があるという点だ。
これは、シンプルなクラウドと面倒なオンプレミスと いった構図だ。だが、集約型データセンターによるオ ンプレミスソリューションは効率的かつ簡単なため、 全体としてクラウドのような使用感を得ることができ る。オンプレミスとクラウドの距離はますます縮まり、 ワークロード間の切り替えの手間もかからなくなって いるのだ。
●運用コストの削減ーー時間と予算は最重要事項だ。 アウトプットを犠牲にせず、費用対効果を最大限に引 き出さなければならない。データセンターの管理に時 間がかかり過ぎているならば、システムの相互運用に ついて今こそ再考すべきだ。
仮想環境に切り替えたとしても、従来型であればソフ トウェアの更新や統合に時間がかかる。ネイティブな 仮想化スタックは数々の作業を合理化し、物事の簡素 化を可能にする。
● IT チームの戦略的活用ーー従来の仮想環境を採用し ている場合、その企業には大抵専門の IT チームが常駐 している。こうしたチームは勤務時間の大部分を費や し、すべてを極力スムーズに運用しようと神経を注い でいる。完全集約型のデータセンターに切り替えれば、 こうしたスタッフの力を基幹業務や企業成長につながる業務に充てることができるのだ。
結果として、IT チームには、コストやリソースの最適 化以上にできることがたくさんある。プロセスの改善、 データ分析の強化、それに新しい収益チャネルの開拓 などが挙げられる。
チームに時間や精神的な余裕がなければ、イノベーショ ンを起こそうにも、ポテンシャルを発揮することができないだろう。
クラウド時代のビジネスに向けた
オンプレミスインフラストラクチャ
クラウドベースのソリューションへ移行する企業がま すます増加しているが、ビッグデータや IoT(モノのイ ンターネット)の登場は、企業にとってオンプレミス インフラストラクチャが、いまもなお重要であるということを意味する。
オンプレミスインフラストラクチャとそこからもたら されるエクスペリエンスを、クラウドコンピューティ ングのそれに匹敵する水準で構築すべきだ。次世代型 のソリューションを使えば、オンプレミスインフラス トラクチャによるデータセンターの運用にまったく問 題などない。
※
いま、企業が保持するデータの量は増加の一途をたど る。そのうちの大部分を担うのは確かにクラウドコン ピューティングだが、オンプレミスインフラストラク チャの役割がなくなったわけではない。
完全集約型のシステムへ切り替えることを積極的に検 討すると良いだろう。データの保存規定や各種規制、 要件に係る義務を果たすと同時に、クラウドライクな 環境のメリットを享受することができるのだ。
(2020 年 4 月 17 日 , THE FORECAST by NUTANIX)
記事構成:ニュータニックス・ニュース! 編集部 , Nutanix Japan
*マイケル・ブレナー氏はMarketing Insider Groupの主宰者、編集人、およびCEO。ブレナー氏は、Forbes、アントレプレナーマガジン、ガーディアンなどの経済ニュースサイトで数百の記事を寄稿。マーケティング、リーダーシップ、ITテクノロジー、ビジネス戦略などのトピックをカバーするリーダーシップ会議で多くの講演を行っている。
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