「アプリケーションとそのデータを基盤となるインフラストラクチャーから切り離す」というビジョンに基づき、クラウド間で真のアプリケーションモビリティを実現すべく、私たちは1年前に「Project Beacon」を発表しました。昨年を通じてお客様にこのビジョンを共有したことで、複数のクラウドでKubernetesベースのモダンアプリケーションを構築する開発者や、こうしたKubernetes環境の導入、保護、管理を業務とするオペレーターを対象に、プロジェクトの提供範囲を拡大する機会を特定しました。
新規のアプリケーションを構築する開発者にとって必要なのは、信頼できるスケーラブルなインフラストラクチャー上のリソースとサービスへの迅速かつ簡単なアクセスです。これには、ブロック、ファイル、オブジェクトなどのインフラストラクチャー・アズ・ア・サービス(IaaS)型データサースと、データベース、ストリーミング、キャッシング、そして成長著しいAI推論エンドポイントサービスなど、より高度なプラットフォーム・アズ・ア・サービス(PaaS)型データサービスの両方が含まれます。クラウドネイティブアプリケーションの大半はクラウドに端を発しているものの、実際にマルチクラウドに対応し、あるクラウドから別のクラウド、あるいはオンプレミスへと容易に移行できるよう構築されているものは皆無です。さらに、複数のクラウドでデータを保存、保護、処理するための一貫したデータサービスも欠如しています。
既存のクラウドネイティブなストレージサービスの課題は、プラットフォームデータサービスと同様、ある特定のパブリッククラウドのみにネイティブな点です。すなわち、一例として、AWSをベースとし、Amazonのネイティブストレージサービスに依存するアプリケーションを、別のパブリッククラウドやプライベートクラウドに導入したい場合、開発者やオペレーターは代替的なストレージソリューションを特定し、アプリケーションロジックを書き換える必要があります。この結果、アプリケーションとデータにはサイロが発生し、開発期間と市場投入期間は遅れ、運用は複雑化します。
最後に、クラウド・オンプレミス間でのアプリケーションの容易な移植を実現するため、Kubernetesのプラットフォームエンジニアリングチームは、これらすべての環境を対象に、一貫したKubernetesプラットフォームと上記のデータサービスを提供する必要があります。その際、セキュリティを確保し、エンタープライズポリシーに準拠しつつ、理想をいうなら長期的に管理可能な状態を維持すべきです。その結果、本番Kubernetesクラスターをサポートするプラットフォームエンジニアリングチームの間では、以下のニーズが高まっています。
- Kubernetesクラスターの実行環境(AWS Elastic Kubernetes Service、Azure Kubernetes Service、Google Kubernetes Engine)に関わらず、開発者が要求するKubernetes環境を一貫して導入、管理、保護、運用するためのツール
- アプリケーション開発を加速し、複数のアベイラビリティゾーンでデータの回復力を簡素化しつつ、複数のクラウドで一貫した管理が可能なインフラストラクチャーデータサービス(ブロック、ファイル、オブジェクト)
- 複数のクラウドで一貫したアクセスが可能な、プラットフォームデータサービスとAIモデルエンドポイントサービス
これまでのサイロ打破の経験に基づき、『Project Beacon』が目指すのは、複雑な環境の運用を簡素化するツールを構築し、高性能かつWebスケールのデータソリューションを提供することで、上述の課題を解決することです。
「Project Beacon」を拡張
最近発表されたNutanix Kubernetes Platformは、EKSやAKSなどのクラウドネイティブなKubernetesサービスを含む、CNCF準拠のKubernetesディストリビューション向けの統合管理プレーンを導入初日から提供します。プラットフォームエンジニアは単一の管理画面を通じ、オンプレミスとパブリッククラウドの両方の環境でKubernetesクラスターの大規模なフリートの導入、保護、運用を一貫して行えます。
インフラストラクチャーデータサービスについては、パブリッククラウド、オンプレミスのプライベートデータセンター、エッジの環境で一貫してネイティブに管理可能なクラウドネイティブのブロック/ファイルストレージサービスを対象に、「Project Beacon」の提供範囲を拡大していきます。こうしたクラウドネイティブなデータサービスは、パブリッククラウドで使用されるモダンなオーケストレーション環境とシームレスに連携することで、容易な管理を促進し、デジタル回復力を強化し、進化する規制とのコンプライアンスを向上できます。
これにより、モダンなアプリケーションを構築・実行するプラットフォームチームと開発者にとっては、導入する環境に関わらず、同一の強力なデータ/ストレージサービスをシームレス、迅速、セキュアに活用できます。その後は運用の複雑性が軽減され、それぞれの環境で異なるチームが異なるデータサービスを管理するのではなく、複数の環境で単一のデータサービスを管理できます。その結果、開発速度は向上し、市場投入期間は短縮されて、アプリケーションのライフタイム全体を通じてより柔軟な導入が可能です。もう1つのメリットとして、エンタープライズのワークロードで利用可能なものと同じデータサービスを使用し、モダンなクラウドネイティブアプリケーションを提供することで、高性能、ディザスタリカバリ、アベイラビリティゾーンを横断した高可用性、統合型セキュリティなど、すべての機能はアプリケーション開発者が開発・提供しなくてもよくなります。
最新のクラウドネイティブなデータサービスを発表
こうした取り組みの重要な一歩として、私たちは、Nutanixの実績ある高回復力AOSスタックをコンテナ化プラットフォームで提供するCloud Native AOSを開発しています。利用可能なユースケースの第一弾は、Cloud Native AOSをベースとしたNutanix データサービス(NDK)であり、あらゆるハイパースケーラーとK8s環境への拡大を視野に入れつつ、AWS EKSを皮切りに、エンタープライズグレードのデータ保護機能とデータ管理機能をクラウドネイティブアプリに提供します。
Cloud Native AOSのターゲットとする重要なユースケースは、アベイラビリティゾーンの障害、フルリージョン、あるいはクラウドの障害に直面した際にも、データアクセスをそのまま維持できるクラウドネイティブなアプリケーションの構築です。従来は、こうした高水準の回復力を得るためには、アプリケーションのアーキテクチャを全面的に見直し、アプリケーション自身に、異なるアベイラビリティゾーンとリージョン間でデータ複製を管理させる必要がありました。このアプローチは技術的には可能ですが、アプリケーションのモダナイゼーションのコストと複雑性は増大します。一方、Cloud Native AOSであれば、アベイラビリティゾーンとリージョンを横断してすべてのコンテナデータの複製を自動化することで、コンテナは実行環境に関わらず、データへのシームレスなアクセスが可能です。この機能により、どんなにシンプルなアプリケーションであっても、最先端レベルの回復力と高可用性のメリットを享受できます。
これらの機能を考慮すると、Cloud Native AOSは今後、Nutanix自身のデータ中心のマルチクラウドPaaSサービスのスイートにとっても、重要なビルディングブロックとしての役割を果たすことになります。
近日中には、パブリッククラウド上でネイティブに実行されるNutanix Filesが、パブリッククラウド上でエンタープライズグレードのファイルサービスを提供します。これにより、お客様は、ディザスタリカバリなどのハイブリッドクラウドのユースケースを、高いコスト効果で簡単にサポートできます。
Nutanixが発表したNutanix Kubernetes Platformを通じ、クラウドネイティブのプラットフォームデータサービス、インフラストラクチャーデータサービス、Kubernetes管理を統合することで、私たちは、あらゆる環境で提供される、包括的かつモダンなアプリプラットフォームを提供する計画です。将来的には、新たな機能とサービスの展開も予定しています。「Project Beacon」の最新情報とベータプロセスへの参加方法については、こちらからお申し込みください。
「Project Beacon」で予定される機能と特長は、現在準備中です。詳細については、こちらをご覧ください。
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