企業紹介
1999年7月1日に行われた日本電信電話株式会社の再編成によって誕生、東日本地域における電気通信事業者として豊かな社会の実現や持続的な発展に貢献している。良質かつ安定的なユニバーサルサービスの提供をはじめ、災害やサイバーセキュリティへの脅威、高度かつ強靭な通信ネットワークの構築、大規模災害時の迅速な普及などの取り組みを通じて、社会インフラの信頼性を確保しつつ、ICT利活用の促進による地方創生や働き方改革、生産性・利便性向上等の実現に貢献することで、経済的、社会的課題の解決に尽力している。
業界
電気通信業界
課題
- チームごとに開発基盤を個別調達していたため、調達期間が長期化
- 個別調達でリソースの無駄も表面化
- 迅速かつ柔軟にトライ&エラーできる研究開発基盤が必要に
- 3TierでのOpenStack運用での課題が顕在化
- 将来的に拡張しやすい基盤づくりを模索
ソリューション
- Nutanix Enterprise Cloud OS
- Nutanix AHV
- Nutanix Prism Central
- Nutanix AHV
- Nutanix Flow
導入によるビジネスのメリット
- ベンチャー的なアプローチが社内の評価モデルに
- 挑戦するという意識変革を醸成
- サービスリリースの早期化に貢献
- サポートの充実
- わずか配属後 1か月でも扱える簡便性
- 管理負担の軽減に寄与
- 学習しやすい環境提供が大きな魅力
- 協力会社にも作業が依頼しやすい
「部内限定ではありますが、Nutanixを使った基盤によって一気通貫でベンチャー的な動きができるようになりました。会社が次に目指していくための体制づくりにおける評価モデルの1つになると考えています」
高度化推進部 巧速PT松村 崇志氏
課題
国内最大手の電気通信事業者として東日本地域に各種通信サービスを展開している東日本電信電話株式会社(NTT東日本)。最先端のICT技術を活かした新たなサービスの開発や販売をはじめ、通信回線や基幹ネットワークの構築・運用、グループの事業戦略立案・推進を通して、ビジネス・ライフスタイルの革新、安心・安全な社会の実現に貢献しています。北は北海道から、関東全域に至る17都道府県において、加入電話に代表される音声伝送サービスをはじめ、フレッツ光などのデータ伝送サービス、高速ディジタル伝送サービスなどの専用サービス、電報サービスなど、幅広い電気通信サービスを提供。電気通信施設の改良・高度化を進めながら、経営基盤の安定・強化を図り、顧客に快適な通信サービスを提供するべく、研究開発の推進にも積極的に取り組んでいます。
そんな同社において、数年先を見据えたうえで既存サービスや新たな領域における研究開発を行っている高度化推進部は、クラウドや光サービスといった環境はもちろん、次世代ネットワークやサーバの開発や電柱などのインフラに至るまで、同社が手掛けるさまざまなサービスに関するR&D部門として活動しています。「高度化推進部のなかで組織横断的に最適な研究開発環境を各研究チームに提供しているのが、我々の所属する運用推進部門です」と説明するのは、同部 巧速サービス実現PT 松村 崇志氏です。なかでもAIやIoT、5Gなど通信サービスが大きく変化するなかで、少量多品種のサービスをスピーディに提供することが求められています。そこで、研究開発を行うための基盤についても、迅速かつ柔軟にトライ&エラーできる環境づくりが必要となっていました。
ただし、これまでは部内で進められているプロジェクトごとに検証用の環境を個別に調達、運用していたことで、運用管理の負担が増大していただけでなく、迅速な環境整備にも大きな課題があったと振り返ります。「検証環境の構築に向けて調達から環境整備に時間がかかってしまうだけでなく、同じ物品を繰り返し購入するといったことも発生しており、柔軟にトライ&エラーできる環境とは言えませんでした。そこで、検証環境を統合して手軽に利用できる環境を目指し、プライベートクラウド基盤を整備することにしたのです」と松村氏は当時を振り返ります。
ソリューション
当初取り組んだのは、検証環境を統合することでリソースを無駄にしない環境づくりでした。そこで、異なるハードウェアをプライベートクラウド基盤となるOpenStackで抽象化し、効率よく利用できる環境を検討、その際に用意されたのが3層構造でのサーバ基盤でした。「3層構造上でOpenStackを動かす形でプレ運用を行ってみたところ、ストレージ設計が難しいなど、インフラ管理の面で課題が顕在化したのです。ドライバーの適用はもちろん、各ノードに対してそれぞれOpenStackのコンポーネントを配置していく必要があるなど、物理構成上で複雑な管理が要求されました」と松村氏。サーバやFCスイッチ、ネットワーク機器など異なるベンダを組み合わせた環境だったため、それらも考慮しながらOpenStackを運用するための環境づくりが必要となるなど、OpenStackを導入するまでの敷居の高さも課題となったのです。
環境整備の困難さもさることながら、将来的な拡張も考慮したうえで、3層構造とは異なる新たな環境を模索することに。そこで目を付けたのが、Nutanixが提供している Enterprise Cloud OSでした。「実は隣のチームが関連した研究を行っており、そこで利用していたのがNutanix Enterprise Cloud OSだったのです」と松村氏。新たな環境づくりの課題に直面していたなかで、身近に解決策を見出すことができたのです。
Nutanixを高く評価したのは、エンタープライズクラウドにおけるデファクトスタンダードである点でした。「サーバやストレージ、スイッチが一体化されて提供されていることで、素早く環境構築が可能です。また、Nutanix Prismによってうまくハードウェアを隠ぺいしてくれるため、シンプルなユーザインターフェースで運用できるなど、その使いやすさも高く評価したのです」と松村氏。また、同部運用推進部門サービス技術担当岡元 伶洋氏が評価したのは、サポートの充実でした。「導入後にも実感したことですが、他のベンダに比べてサポート体制がしっかりしています。質問をポータルに投稿するとすぐに回答が来ますし、発生したイベントの重要度もすぐに理解できる。使ってみたうえで選択してよかったと実感しています」。研究開発に必要な検証基盤として十分期待に応えてくれるものだと判断したのです。さらに、他社では対応できていなかったOpenStackに、Nutanixが提供するハイパーバイザーであるAHVだけが対応済みだった点も大きなポイントだったと振り返ります。
結果として、Nutanix Enterprise Cloud OSとOpenStackの組み合わせによるプライベートクラウド環境が、同社の研究開発用の検証基盤として採用されることになったのです。
導入効果
ベンチャー的なアプローチが社内の評価モデルに
多くの支社や拠点を持つ同社では、組織的にも大規模かつ縦割り的なところもあるのが実態で、企画や開発、運用などそれぞれ分業体制となっていると、どうしても新しいことに踏み出すことが難しいことも少なくないと語ります。「我々がやっていることは、部内限定ではありますが一気通貫でベンチャー的なアプローチでの体制や環境が実現できている面があります。特にNutanix Enterprise Cloud OSを利用することでDevOpsにもつながる環境が整備できたことで、新しいことを進める組織として、会社がこれから目指していくべき体制としての評価モデルになってくると考えています」(松村氏)。
挑戦するという意識変革を醸成
これまでは気軽に試してみようという環境が整備できておらず、研究者としても頭の中ではやりたいこともすぐに実行に移せない状況が続いていました。今では、興味本位のレベルでも声がかかる機会が増えており、負担なくやめられることが心理的な負担を軽減し、チャレンジしやすい環境が醸成できていると評価します。「パブリッククラウドのような環境を、費用をかけずとも社内で用意できるため、挑戦するという意識改革につながりつつあると実感しています。もともと保守的な考え方をもっている方も少なくありませんが、特に技術に明るい方からは高評価をいただいています」(岡元氏)。
サービスリリースの早期化に貢献
これまで研究者自身が環境を用意する場合、予算調整からハードウェアの調達手続き、構築までには 3~5か月ほどかかる場合も。Nutanix Enterprise Cloud OSで環境を整備したことでいつでも払い出しが可能になり、今では使うという意思決定から1~2週間ほどで検証環境が用意できるようになっています。「検証環境をスムーズに払い出しすることで、研究開発への着手が早くなり、最終的には迅速なサービスリリースにも貢献しているはず」(松村氏)。
サポートの充実
サポート体制については、多くのベンダがメールなどでの個別対応が中心で、特段専用のポータルが準備されていないケースも。Nutanixはきちんと問い合わせポータルが用意されており、個別の相談にもしっかり対応してもらえると評価しています。「すぐにレスポンスいただけるのは、実は運用しているなかでかなり効いてきます。質問したことの重要度がすぐに理解できるため、運用しているなかではとても重宝しています」(岡元氏)。
わずか配属後1か月でも扱える簡便性
Nutanix Enterprise Cloud OSであれば、経験の少ないエンジニアであっても負担なく操作でき、簡単に扱える点を高く評価しています。「Linuxも触ったことのないエンジニアが新たにメンバーとして参加したのですが、わずか1か月あまりでノード追加やトラブル時のエスカレーション対応など、簡単な運用がこなせるようになっています。技術的にはこれから学んでもらう必要はありますが、誰でも運用できるよう、複雑な仕組みを隠ぺい化してくれる点はとても便利です」(松村氏)。
管理負担の軽減に寄与
管理者目線では、必要な環境を数週間のうちに払い出すだけで、基盤とは切り離した形で自由に利用してもらうことができる環境が整備できている。「我々として環境整備までに必要だったやり取りの手間や管理の負担が大幅に軽減でき、研究開発できる環境がスピード感をもって提供できるのはとても助かっています。また、従来の3層構造に比べて簡単にノードを追加できるなど、柔軟に拡張できる点もありがたい。足りなくなれば追加できるだけでなく、必要なくなれば切り出すこともできます。運用しているなかで、その自由さを感じる場面は多い」(岡元氏)。
学習しやすい環境提供が大きな魅力
一般的なソリューションの場合、学習するための環境が十分に整っておらず、実機に触れるにも費用が発生するなど学習するための高い壁があるのが実態です。「Nutanixの場合、Nutanix バイブルなど無償で学ぶことができる学習材があるだけでなく、無償でソフトウェアに触れることができるCommunity Editionや公式に学べるオンラインセミナーなど、学びやすい環境が数多く提供されています」(松村氏)。技術の底上げという観点からも、負担なく学ぶことができる手段が多く用意されている点を高く評価しています。
協力会社にも作業が依頼しやすい
「普段の運用では、我々プロパーの社員だけでなく、協力会社の方とも仕事をしていますが、Nutanix Enterprise Cloud OSであればクラスタの付け替えやハードウェア増設なども容易で、設定回りもNutanix Prismを使えばワンクリックでできてしまうなど、ミスなく作業をお願いすることができています」と松村氏。簡単に選択していくだけで必要な作業を終えることができるため、さほど詳しくない方にも安心して依頼できると運用管理の面でのメリットを語ります。
今後の展開
現状は15前後のノードが実際に稼働しており、30テナントでおよそ200の仮想マシンが実際に動いていますが、一部GPUを搭載したモデルで機械学習などAIに関連した検証環境を用意しています。「試験的に1ノードだけGPU搭載のものを用意していますが、現状はOpenStackからではなくNutanix Enterprise Cloud OS上で直接制御しています。いつかは、OpenStackのダッシュボードであるHorizonからクラウドライクに運用できるようにしていきたい」と松村氏は語ります。
また現状は、マイクロセグメンテーションでセキュアな環境づくりに役立つNutanix Flowを活用していますが、今後はKubernetesを活用したコンテナへの対応も進めていくなかで、Nutanix Karbonに期待を寄せています。「現状は仮想マシンが中心ですが、コンテナ対応も必要な要素の1つ。Kubernetesへの対応が可能なソリューションの導入は検討したい」と松村氏に今後について語っていただきました。