標準化や基幹システムのガバメントクラウドへの移行など、激変する公共システムに無駄なく着実に対応するさいたま市のDX戦略
主なメリット
- VMware から Nutanix AHV ベースのシステムへの変更によるコスト最適化
- 予測が困難な不確実性の高い状況下に対応できる効率化と柔軟性
- システムの構成管理と変更管理の簡素化
「地方自治体の調達は一般競争入札が原則です。 特に理由のない限り、直接製品名を指定してのハードウェアやソフトウェアの導入は困難なため、要求機能やスペックを提示した上で、契約するベンダーに最適な環境を構築してもらいます。 今以上に、 Nutanix の認知が高まり、どのベンダーからも真に有用な環境として提供されるようになることを期待しています」
「システムを運用する我々や、統合システム基盤で稼働するアプリケーションを提供するベンダーにとって、 Nutanix はまだ新しい技術ですが、徐々に利用していくことで、Nutanix ならすぐに効果的に利用できるようになると感じています」
「今後ますます、投資対効果の高いシステム選定が要求されるようになります。そうした中で、システムの要求スペックを満たし、包括的な導入コストを最適化できる Nutanix Cloud Platform のような環境が、必要とされるようになるのではないでしょうか」
背景
さいたま市は、 2031 年に市役所本庁舎の移転・整備を目指して、現在、市の都心地区のあり方や将来を見据えた都市づくりを検討しています。「緑や歴史文化資源との共生や、ユニバーサルデザインへの配慮なども図りながら、誰にとっても居心地のよい都市空間の形成」、「 2 つの『都心』がそれぞれの特徴や強みを生かすことで機能分担を図りながら、都心間の連携を強化」、「広域的なネットワークの形成を支える都市軸の強化」の観点から行政の見直しを行い、市全体のさらなる発展を目指しています。
課題
さいたま市は、さらなる市民サービスの向上と業務効率化を目的として、デジタルトランスフォーメーションを推進しています。 窓口手続のオンライン化や、行政サービスのデジタル化、デジタルデバイドの解消、データの利活用、市役所の内部業務におけるデジタルの活用等、さまざまな視点から取り組みを進め、 DX によって目指すべき姿に向けて 「さいたまデジタル八策」 という 8 個の軸を策定し、それぞれの策に沿って開発を進めています。
この目標のひとつとして「 時代の変化や新たな危機にも迅速に対応しうる柔軟かつ堅牢なデジタル基盤および体制を構築する」 を掲げました。 市政の中核をなす統合基盤システムが機器更改をむかえることから、2024 年の運用開始を目指し、仮想サーバーやデータ連携、認証など各種システムの調達から 100 以上の仮想マシンや多数のアプリケーションの移行も含めた新統合基盤システムの構築プロジェクトを開始することになりました。
ソリューション
さいたま市は、従来、 サーバー、ストレージ、 SAN スイッチからなる 3 層構成を VMware ESXi で仮想化する統合基盤システム上で、 税務システムや住民記録システム、統合宛名システム、ファイル連携システム、印刷基盤システムなど多くのアプリケーションを稼働させていました。 2023 年、この統合基盤システムを刷新するための一般競争入札を経て、新統合基盤システムとして Nutanix Cloud Platform が選定され、 2024 年 2 月から新システムが本稼働を開始しました。 新システムでは、従来の環境で稼働していたアプリケーション群に加え、それまで別のシステム環境にあった戸籍システムもこれを機に新統合基盤に移行しました。
新統合基盤システムは、本番環境とバックアップ環境共にNutanix Cloud Infrastrucutre (NCI) で構成され、ハイパーバイザーには Nutanix に標準でビルドインされるNutanix AHV が採用されています。新たにシステムを再構築したため、アプリの移行は発生しませんでしたが、さまざまなアプリを一つの統合システム基盤に集約したことで、システムの構成管理と変更管理の簡素化と、システムリソースの割り当てや運用管理の効率化を図ることができました。 結果として、統合基盤システム全体の導入から運用に関わる全体的なコストの最適化にもつながりました。
導入効果
日本政府が推進するガバメントクラウドによるシステムの標準化が進むのかも知れませんが、今後、 10 〜 15 年の間にガバメントクラウドに移行するシステムとオンプレミスに残るシステムを正確に予測することは困難です。 そうした不確実性の続く環境下では、システムの再調達や再リースなどが必要になる可能性があります。 Nutanix Cloud Platform であれば、統合管理ソフトウェアを活用して容易にリソースの追加や削除が可能なので、オンプレミスからガバメントクラウドにシステム移行してできた空き領域の有効活用にも役立ちます。 また、サーバー、ストレージ、ネットワークなどそれぞれを熟知した複数のエンジニアも不要なため、コストが最適化できます。
新統合基盤システムの運用を開始する際に、税務情報ソリューションのアプリケーションで十分な性能が出ないという課題に直面しましたが、 Nutanix のサポートチームがログを解析してボトルネックとなっている原因の解決策を迅速に提示してくれました(内田氏)。解決策を示してもらうことで問題点が特定でき、期待する性能を取り戻すことができました。「 柔軟に対応していただき、無事、本番稼働を迎えられました。 とても迅速で手厚いサポートに感謝しています。 現在、新統合システムは問題なく稼働しており、政令市規模の基幹系システムを導入しても確実に運用可能です」と須藤氏は当時を振り返ります。
今後の展開
さいたま市は、 行政デジタル化計画における取り組みとして、大胆なデジタルトランスフォーメーションに挑戦しています。 ガバメントクラウドの推進など地方自治体のシステム環境構築に対する影響には多大なものがあります。 そうした中、信頼できるシステムにはセキュアで柔軟かつ適正コストが求められ、それらを支える基盤の整備が急務となっています。
リース契約を利用する同市では、約 5 年毎に機能入れ替えが発生するタイミングを迎えます。 そうした際に、 Nutanix のような柔軟でシンプルな仮想化環境の構築と変更・管理が可能な環境が準備されていると、「システムの運用管理上、非常に助かる」と須藤氏や内田氏は声を揃えて言います。「各自治体にも共通するかもしれませんが、今後ハードウェアへの依存度が低下し、より投資対効果の高いシステム選定に目が向けられるようになるのではないか」(内田氏)と今後の自治体システムについて示唆しました。