お客様

Nutanixにより、大規模災害発生時にも止まらないシステムを構築

ITに詳しくない職員でも運用できるシンプルな環境構築とBCP対策を実現

 

導入によるビジネスのメリット

  • 2,000人以上が同時利用するグループウェアが安定稼働する基盤を構築
  • ログ検索の時間を数秒に短縮し、運用効率を向上
  • DRサイトの構築で数クリックでのバックアップを実現
  • バックアップに関わる運用負担を大幅に軽減
  • ITに詳しくない職員でも運用できるシンプルな環境を構築
  • コスト削減に貢献する仮想化基盤の下地を整備
  • 複数ベンダーの製品を利用する複雑性を排除

自治体

大阪府高槻市

業界

地方自治体

課題

  • 災害時のBCP対策およびテレワークの実現に向けたIT環境整備
  • 複雑な3層構成環境における運用負荷とアップデート時のシステム停止
  • システム連携による各業務システムの開発コストと運用保守コスト

ソリューション

  • Nutanix Enterprise Cloud OS
  • Nutanix AHV
  • Nutanix Prism Pro

アプリケーション

  • グループウェア
  • ファイルサーバー
  • RADIUSサーバー
  • 証明書発行サーバー
  • メールリレーサーバー
  • メールアーカイブサーバー

「信頼性や性能が高い割には費用感が手ごろ。仕組みも合理性の塊で、非常に理にかなっている。選ばない理由がないというほど惚れ込んでいます」

高槻市 総合戦略部 情報戦略室 主査 前 尚徳氏

「監査目的でのメールやグループウェアの操作ログ検索に以前は数十分かかっていたものが、数秒で結果が返ってくることに驚きました」

高槻市 総合戦略部 情報戦略室 主任 辻野 誠氏

 

課題

大阪平野の北東、京都と大阪の中間に位置する大阪府高槻市は、2003年に中核市に移行するなど大都市のベットタウンとしても発展を遂げている一方で、四季を通じて景勝地となっている摂津峡や、淀川流域最大級の墳丘墓である今城塚古墳をはじめとした日本有数の古墳群などの観光資源を有しており、都市の賑わいと豊かな自然、そして歴史文化が今に残るエリアとして人気の高い自治体です。


同市では、IT推進本部を設置し、「ICT利活用による行政サービスの向上」「データ利活用の推進」「ICT利活用力の向上」「ICT利活用による効率的な行財政運営」という4つのICT戦略基本方針のもと、新型コロナウイルス感染拡大や2018年の大阪府北部地震などを経て、災害復旧(DR)対策およびテレワークの実現による働き方改革を推し進めることとなりました。ICT戦略を推進するなかで課題に挙げられていたのが、サーバー統合によるコスト削減や共通基盤を介したシステム連携による各業務システムの開発コストおよび運用保守コストの削減でした。

「標準的な仮想化基盤として位置づけてはいませんでしたが、過去には複数台のサーバーをVMwareにて集約した経験もあります。しかし、我々にとって運用しやすい状況とは言えませんでした」と総合戦略部 情報戦略室 主査 前 尚徳氏は当時を振り返ります。「庁舎の法定点検に合わせてサーバー環境をシャットダウンする際、複雑な3層構成環境であったため、時間内にシャットダウンが間に合わないことや手順が複雑でうまく再起動できない事態に陥ったこともありました。また、設計上の問題もあって、管理コンソールへのログインに時間を要してしまうなど、根本的な刷新が必要と考えていました」と前氏。個別のアプリケーションが更改されるたびに基盤を調達してしまうとコストや運用面での課題解消が困難なため、予算的に厳しい場合は、運用の容易なHyper-Vにてサーバー集約をやむなく実施したこともあったといいます。

そうした中、グループウェアの更改時期に合わせて、仮想化基盤を活用する案が持ち上がり、本格的に導入を検討することになったと前氏は説明します。

ソリューション

2020年度のファイルサーバー更新に向けた基盤調達時に、本格的にサーバー集約を行うべく、従前の課題解決につながる仕組み作りを目指して入札を実施することになりました。「特に2018年大阪府北部地震や新型コロナウイルスの感染拡大を経験し、罹災証明書の発行や緊急時における職員の業務継続性の確保を目的として、個人番号利用事務系以外の業務システムにおいてもBCP(事業継続計画)対策が不可欠という意識が庁内において高まっていました。そこで、BCPサイトの構築も含め、拡張性や災害復旧(DR)対策に重きを置き、入札を行うことになりました」と前氏は説明します。


Nutanix以外の提案は3層構成を中心としており、業務継続性の観点でNutanixと大きな差があったといいます。当初は、仮想化基盤に警戒心を持っていた前氏でした が、検討する過程でNutanix Enterprise Cloud OS に出会ったことで、考え方に変化が起きました。前職でメーカーエンジニアを務めていた前氏は、「運用が非常に簡単だとアピールされ、当初は正直懐疑的でした。しかし、技術を掘り下げていくと確かに理にかなっており、妥当性があることが分かりました」といいます。検証のため、グループウェアを載せるための基盤としてNutanixを最小構成で試験的に導入することを決めました。実際に運用してみたところ、予想以上の効果があったと語ります。「グループウェアシステムは、常時2,000人以上が使用するため、これまでも遅延対策を考慮した構成でしたが、もたつく場面もありました。試験導入したNutanix上では、思った以上に迅速に動いたため、これは信頼できる製品だと確信しました」と前氏。

「我々がこだわった業務継続性において、Nutanixは高く評価できました。例えばファイルサーバーサービスの復旧はNutanixでは数分でできます。運用面でも、3層構成ではストレージを意識せざるを得ず、これまでの運用上の課題がクリアできるものではありませんでした。構成の複雑さが、運用の複雑さ、ひいてはSE費や保守費のコスト増につながります。シンプルなNutanixであれば、運用上の課題も解決できると考えました」と前氏は評価し、Nutanixによる仮想化基盤をベースとしたファイルサーバー環境の導入が決定しました。

ファイルサーバー基盤のハイパーバイザーには、Nutanix AHVを採用し、メインサイトと同様の環境をDR(ディザスタリカバリ)サイトに設置、レプリケーションを行うことで業務継続性を高めた環境を整備しています。管理ツールとしては機械学習を用いた高度な分析と深い洞察を可能にするNutanix Prism Proを新たに採用し、仮想化基盤として今後の導入計画に役立てていく計画です。

導入効果

Nutanix導入後は、大きなトラブルが一度もなく、「AHVは安定稼働しており、監視は行っているものの、運用にかかる時間や精神的な負担が軽減できたことは大きなメリットでした」と運用を担当する同室 主任 辻野 誠氏は語ります。

「グループウェアのログ検索のスピードですが、当初の想定を上回る性能を実感しています。以前の環境では結果が出るまで数十分、時にはタイムアウトしてしまうケースもありましたが、Nutanixに移行してからログ検索がスムーズで、わずか数十秒で結果が返ってきます。非常に運用しやすくなりました」と辻野氏は話します。

バックアップの作業負担軽減においても、Nutanixが貢献しています。「これまではLTOテープに書き出して遠隔地で保管していましたが、DRサイトが構築できたことでその作業が一切不要になっています。また、従来は問題が起きるとベンダーに依頼してバックアップサーバーに切り替える運用が必要でしたが、Nutanix環境では職員が1クリックするだけでDRサイトから復旧できます。可用性が担保できるようになり、利用者への影響をゼロにすることが出来ています」と辻野氏は評価します。

Nutanix Prismのコンソール画面からAHVやホストの状態が瞬時かつ一元的に把握できるなど、操作感も優れているといいます。「自治体の場合、高度なITスキルを持っている人が担当になるとは限りません。ITに詳しくない人でも操作できる使い勝手の良さは高く評価しています」と辻野氏。前氏も、「シンプルで扱いやすいため、運用する我々だけでなく導入支援をするエンジニアの負担も軽減できる。つまりSEサポートや保守費の削減につながっています。VMwareは一定のスキルが求められますが、AHVは万人に適している印象です」と話します。

Nutanixの導入によって、グループウェア環境やファイルサーバーを仮想化基盤で実現できたことにより、「基盤の集約化を進めて、コスト削減にも貢献できる下地がようやく整いました」と前氏は評価します。問題や課題が起こるたびに、その都度個別に調達することで異なるベンダーの製品が増え、結果としてリスクを増やしてしまう状況が回避できる環境が構築できたことは大きな変化だったと語ります。

また、予算の増額が難しい自治体の調達において、予算を適切に把握したうえで、ニーズに見合う提案がNutanixからあった点も高く評価しています。「今後の計画も含めて、運用のしやすさなどを熱心にご説明いただけました。将来像にもしっかり踏み込んで提案いただけたのは、中長期でのICT基盤最適化を実現する上で重要なポイントでしたので、調達の大きな決め手でした」と辻野氏はいいます。

Nutanix上で構築した新たなファイルサーバーの本格稼働が開始されましたが、旧システムより10倍ほど高速化できているといいます。「ファイル書き込みの速さには非常に満足しています。従来ソリューションの性能に悩まされてきた本市としては、Nutanixにシステム構築をお願いして良かったと感じています」と前氏は導入効果を語っています。

今後の展開

新たな基盤更改のタイミングでNutanixを共通基盤として拡張していきたいと話します。「技術が優れていて性能もよく、予算枠にもしっかり収まるのであれば、選ばない理由はありません。信頼性や性能が高い割には費用が手ごろな印象です。テレワーク環境の整備や新たなセキュリティガイドラインに則った三層分離対策の見直し、パブリック、プライベートクラウド環境をつなぐハイブリッドクラウド化も検討しており、Nutanixには今後も期待しています」と前氏は語ります。